白樺のスプリングドライブが新世代へ ── 新作 SLGB009
ハラダでGrand Seikoを担当しております、藤本と申します。
グランドセイコーの人気モデル「白樺」が、2026年に新世代へと進みます。現行の白樺ダイヤルには機械式(ハイビート36000)とスプリングドライブの二つの系統がありますが、そのスプリングドライブ側の最新作が、今回ご紹介するSLGB009、通称白樺スプリングドライブです。
白樺スプリングドライブの核となる変化は、ムーブメントのU.F.A.(Ultra Fine Accuracy)化です。新型キャリバー9RB2の採用により、従来は月差で語られてきた精度が、年差±20秒という領域に到達しました。あわせて、ケースとブレスにはエバーブリリアントスチールを採用。信州 時の匠工房の近くに広がる白樺林、その林立する幹を思わせる縦のラインを銀白の文字盤に写しとった表情と、ブルーの針は据え置かれ、内側とパッケージングが大きく進化を遂げたという構成です。
ちなみに、機械式(ハイビート36000)側の白樺は、別品番の SLGH031 が担います。本稿で扱うのはあくまでスプリングドライブ側の SLGB009 であり、先代にあたるのはスプリングドライブ キャリバー9RA2を積んだ SLGA009 です。以下では、その先代 SLGA009 から何が変わり、何が受け継がれたのかを、ひとつずつ具体的に深掘りしていきます。

新旧を並べて語る前に、まず元モデルの位置づけから整理させてください。
元モデルとしての SLGA009 ── 白樺をスプリングドライブで描いた一本
SLGA009 は、2022年に登場したスプリングドライブ搭載の白樺モデルです。低重心のケースは径40.0mm・厚11.8mmという扱いやすい寸法で、キャリバー9RA2による月差±10秒(日に換算して±0.5秒前後)の高精度と、約120時間という長いパワーリザーブとを兼ね備えた、次世代スプリングドライブの基準点といえる存在でした。今回の SLGB009 を読み解くうえでは、この一本を物差しにすると変化が見えやすくなります。
私自身、店頭で SLGA009 をお客様にお見せしてきた時間は短くありませんでした。金曜の夜に巻き上げを止めても月曜の朝にまだ動いている、その約120時間という余裕は、平日と週末で着け替える方にとって地味ながら効いてくる長所でした。実際「土日は別の一本にするけれど月曜にまた合わせ直す手間がない」と話してくださった方もいらっしゃいました。
本稿の主役はあくまで新作 SLGB009 です。SLGA009 については、ここでは「白樺スプリングドライブの原型」として、新旧を読み解くための物差しという役割にとどめておきます。
補足しておくと、スプリングドライブとは、ぜんまいの動力を電子制御で調速する、グランドセイコー独自の機構です。そのメカニズムから、秒針が一切刻まず滑るように進むという、一般的なクオーツや機械式とは異なる運針を見せます。
新作 SLGB009 ── 受け継いだ白樺と、新しい心臓
SLGB009 は、2026年9月5日発売予定の新作です。結論からいえば、白樺の表情と40mmという佇まいは元モデルから引き継ぎつつ、ムーブメントをスプリングドライブ U.F.A.(Ultra Fine Accuracy)のキャリバー9RB2へ刷新し、ケースとブレスにエバーブリリアントスチールを採用した世代交代版です。径40.0mm・厚11.7mmと、わずかに薄くなっています。
未発売の段階ですので、私が語れるのは先行して展示個体を拝見した範囲に限られます。所有して常用したわけではありません。そのうえで申し上げると、白樺の文字盤そのものは元モデルの記憶とほぼ重なりました。林立する幹を思わせる縦のライン、銀白の地、ブルー針──白樺として大切にされてきた要素は据え置かれていて、変わったのは内側と外装だと一目でわかる構成になっています。

技術的な中心は、新型キャリバー9RB2です。U.F.A.はスプリングドライブの精度をさらに突き詰めた仕様で、年差±20秒という驚異的な領域に到達しています。これは月差で語られてきた従来のスプリングドライブから、精度の桁が一段変わったことを意味します。そして、シースルーバックからこの9RB2を覗ける点も、所有する楽しみとして見逃せないところです。

進化点① 精度の飛躍 ── 月差±10秒から、年差±20秒へ
最大の変更点は精度です。元モデル SLGA009 の月差±10秒に対し、新作 SLGB009 は年差±20秒。月単位で語られていた誤差が、年単位で語れる領域へ移りました。スプリングドライブという機構が本来得意としてきた「機械式の趣と高精度の両立」を、U.F.A.がさらに先へ進めた格好です。
正直に申し上げると、月差±10秒でも実用上の不満を口にされたお客様に、私はこれまでほとんど出会っていません。月に10秒の誤差は、日常で気になる水準ではないからです。それでも年差±20秒という数字を前にすると、所有する満足感はまた別の次元に入ります。展示個体を拝見したときも、スペックシートの数字以上に「ここまでやるのか」という静かな凄みを感じました。
仕組みとしては、スプリングドライブは水晶振動子を基準に、ぜんまいの動力を電磁的に制御して針を進めます。U.F.A.の9RB2は、このメカニズムにおける精度への影響を可能な限り最小化することで、年差という超絶精度を実現しています。そして、電池駆動のクオーツではなくあくまでぜんまいを動力源とすることが、この精度の文脈をいっそう際立たせます。
秒針が一切の刻みを持たずに静かに滑っていく運針と、年差±20秒という正確さ──この組み合わせは、白樺という静かな佇まいの文字盤によく似合うものだと私は感じています。
進化点②と、正直に伝えたいトレードオフ ── 素材・薄さ・パワーリザーブ
外装面の進化と、引き換えになった点をまとめてお伝えします。ケース・ブレスは通常ステンレスからエバーブリリアントスチール(EBS/耐食性PREN値40以上)へ格上げされ、厚さは11.8mmから11.7mmへわずかに薄くなりました。一方で、正直に書くべき変化として、パワーリザーブは元モデルの約120時間から約72時間へ短くなっています。高精度化と引き換えになった部分です。
エバーブリリアントスチールは、海水のような過酷な環境でも錆びにくい高耐食ステンレスで、表面の光沢にも落ち着いた深みがあります。展示個体を私の手首(約18cm)に乗せて拝見したときも、ケースの光沢が従来のステンレスより上品に感じられました。0.1mmの薄さの差は数字としては小さいものですが、白樺のように端正な文字盤には、この軽やかさや気品のある質感がよく似合うのではないでしょうか。

パワーリザーブについてですが、約120時間という長さは元モデルの明確な美点でした。これが約72時間になったということは、たとえば金曜の夜に外して月曜の朝に着ける、という使い方では、巻き直しが必要になる場面が出てくるかもしれません。もちろん、約72時間でも実用的な水準と言えますが「3連休でも大丈夫。パワーリザーブについて全くの心配無し」という精神的な余裕の面では、SLGA009の方に軍配が上がるでしょう。ここは進化と引き換えのトレードオフとして、選ぶ前に知っておいていただきたい一点です。

ちなみに、メカニカルの白樺モデルと同様に、本作のブレスレットのクラスプにも微調整機能が追加されています。ムーブメントの刷新やケース素材の変更に比べると些細なアップグレードと言えますが、日常使いにおける良好な着用感に貢献してくれるでしょう。
変わらない核と、どちらの白樺を選ぶか
進化点ばかりを並べましたが、変わっていない核も明記しておきます。白樺ダイヤルの意匠(林立する幹を思わせる縦のライン・銀白・ブルー針)、径40.0mmという佇まい、そしてEvolution 9のデザイン文法──白樺を白樺たらしめている要素は、新旧で揺らいでいません。つまり SLGB009 は「別物に作り替えた」のではなく、「核を守りながら、心臓と外装を磨き直した」一本だといえます。
選び方の整理です。年差±20秒という精度、エバーブリリアントスチールの質感、わずかに薄くなった着け心地に価値を感じる方には、新作 SLGB009 をおすすめします。約72時間でも3日は駆動しますので、日常の使い方で困る場面はまずありません。元モデルが約120時間という余裕を物差しにしていたのに対し、新作は精度と素材の質をどこまで突き詰めるかという方向に振り切った一本だといえます。何を物差しに選ぶかで見え方は変わりますが、いま白樺スプリングドライブを新たに迎えるなら、私は迷わず SLGB009 をおすすめします。

技術的にいえば、両者は同じ白樺・同じ40mm・同じEvolution 9を土台にしながら、9RA2と9RB2という世代の異なるスプリングドライブを積んでいます。長時間駆動を象徴した9RA2と、年差精度を象徴する9RB2。どちらもグランドセイコーの設計者が積み上げてきた仕事の到達点であり、その方向性の違いがそのまま二本の個性になっています。
新旧の白樺は、ムーブメントや素材という内側を磨き直しながらも、あの林立する幹を思わせる縦のラインという核だけは譲りませんでした。変えるべきところは変え、守るべきところは守る──私はそこに、グランドセイコーの一貫した姿勢を感じています。
正規販売店ハラダから
SLGB009 は、グランドセイコー正規販売店である株式会社ハラダで、正規保証つきでお求めいただけます。発売は2026年9月5日予定です。発売前のご相談、入荷状況、ご予約の可否については、お気軽にお問い合わせください。新作ですので、展示・入荷のタイミングは時期によって変わります。実機をご覧になりたい方は、事前にご一報のうえご来店いただけますと確実にご案内できます。
お支払いについては、無金利の分割払い(最大100回)をご利用いただけます。月々のご負担を抑えながら、白樺をお手元に迎える選択肢としてご検討ください。また、ご購入後の安心として、お支払い回数が60回以下の場合(クレジットカード・銀行振込でのお支払いも含む)には、ホディンキー社のウォッチケアによる3年間の対物保険が付帯します。万一の打痕や破損といった物損に対する備えです。付帯条件は今後変更となる場合がありますので、詳しくはご来店時にご説明いたします。
白樺は、写真だけで決めるにはもったいない文字盤です。光の中でしか見えない縦のラインの表情を、ぜひ一度ご自身の目でお確かめください。SLGB009 についても、入荷次第ご案内できるよう準備を進めてまいります。新旧どちらの白樺がご自身に合うか、私もご一緒に考えます。
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