新作 SLGH031 とは ── 2026年10月9日に発売された白樺ハイビート
グランドセイコーの白樺ダイヤルに、機械式ハイビートの新作が加わりました。SLGH031、2026年10月9日の発売です。価格は1,386,000円(税込)、ケースとブレスレットはエバーブリリアントスチール、重さは165g。搭載するのは毎時36,000振動のキャリバー9SA5です。

この記事では、当店に入荷した実機を手元に置きながら、SLGH031 がどんな一本なのかを順にお伝えします。重さと着け心地、エバーブリリアントスチールという素材、工具を使わずに長さを変えられる中留、そして先代 SLGH005 から何が変わったのか。カタログの数字だけでは分からない部分を中心に書いていきます。
まず、主なスペックを一覧にしておきます。
| 品番 | SLGH031 |
| コレクション | エボリューション9 コレクション |
| ダイヤル | 白銀色(白樺パターン) |
| ケース素材 | エバーブリリアントスチール |
| サイズ | 横40.0mm × 縦47.0mm・厚さ11.7mm |
| 重さ | 165g |
| キャリバー | 9SA5(メカニカル 自動巻・手巻つき) |
| 振動数 | 毎時36,000振動(ハイビート36000) |
| 精度 | 静的精度 平均日差+5秒〜-3秒/携帯精度 日差+8〜-1秒 |
| パワーリザーブ | 最大巻上時 約80時間 |
| 防水 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
| 価格(税込) | 1,386,000円 |
| 発売日 | 2026年10月9日 |
| 先代 | SLGH005 |
白樺ダイヤル ── 白銀色に広がる「白樺林」
白樺ダイヤルは、いまやグランドセイコーの顔というべき存在になりました。SLGH031 が宿すのは、白銀色の盤面に型打ちで刻まれた白樺パターンです。

公式の説明では、高原の澄んだ空気をまとった壮麗な白樺林を、奥行きを感じさせるパターンで表現したとされています。ここは少し補足しておきたいところです。白樺ダイヤルを「一本の木の表面を写し取ったもの」と受け取られる方がいらっしゃいますが、そうではありません。表現されているのは、一本の木ではなく林そのものです。幹が何本も立ち並び、そのあいだに奥行きが生まれている。そういう光景が盤面に収められています。
この違いは、実機を傾けていただくとはっきりします。正面から見ると静かな白銀の面ですが、光の角度を変えると、立ち並ぶ幹の手前と奥とで明るさが変わります。平らな模様ではなく、奥行きのある光景として組み立てられていることが、そこで分かります。写真よりも、実物のほうがはるかに雄弁な部分です。

針とインデックスは、エボリューション9コレクションらしく幅広く、面で光を受ける形です。そのうえで、秒針だけがブルーに塗られています。毎時36,000振動で進む秒針は動きがなめらかですから、この一本だけ色を変えてあるのは理にかなった設計だと思います。白銀の盤面の上を、青い線が滑っていく。店頭でお客様が最初に目を留められるのは、たいていこの動きです。
実機の着け心地 ── 横40.0mm・ラグ間47.0mm・165g
SLGH031 について、お問い合わせで最も多いのが重さとサイズです。数字は、横40.0mm、ラグからラグまでの縦が47.0mm、厚さ11.7mm、重さ165g。この165gという数字をどう受け取るかは、正直なところ、腕に乗せてみないと決まりません。

私の手首はおよそ18cmです。実際に着けて一日を過ごしてみますと、165gは「軽い時計」ではありません。手首を返したときに、確かに存在を感じます。ただ、それが煩わしいかというと、そうではないのです。重心がケースの中央に収まっていて、ブレスレットが腕の丸みに沿って回り込むため、重さが一点に集まりません。腕全体で支える感覚に近いと思います。
縦47.0mmという寸法も、実用の面では効いています。エボリューション9スタイルはラグが短めに設計されていますので、横40.0mmという数字から想像されるよりも、腕への収まりはおとなしく感じられるはずです。手首が細めの方でも、ラグが手首の側面からはみ出しにくい。ここは、同じ40mm級でも時計によってずいぶん差が出るところです。

厚さ11.7mmは、シャツの袖口を通る厚みです。スーツでお使いになる方からよくご質問をいただく点ですが、袖口に引っかかって往生するという厚みではありません。ドレスウォッチのように薄いわけではないものの、日常的に袖を通す時計として現実的な寸法に収まっています。
もし重さが気になるというお客様には、同じ白樺ハイビートでブライトチタンを採用した SLGH029(112g)という選択肢もあります。こちらは後ほど改めて触れます。
エバーブリリアントスチールとは ── 普通のステンレスと何が違うのか
SLGH031 のケースとブレスレットには、エバーブリリアントスチールが使われています。先代 SLGH005 が通常のステンレススチールでしたので、ここが世代をまたいだ最も大きな変更点です。
グランドセイコーの公式説明では、エバーブリリアントスチールは「腕時計に使用される素材として、世界最高レベルの耐食性を備えたステンレススチール素材」であり、「一般的な高級時計に使用されているステンレススチール材を上回る耐食性と白く美しい輝きを併せ持つ素材」とされています。耐食性と、白さ。この二つが要点です。

耐食性のほうは、日々お使いいただくなかで実感される種類の性能ではありません。汗をかく季節、海辺へお出かけになる機会、そうした場面が積み重なった何年か先に効いてくるものです。ただし、お断りしておきたいことがあります。耐食性が高いというのは「水に強い」という意味ではありません。SLGH031 の防水性能は日常生活用強化防水(10気圧)であり、この点は先代と同じです。水まわりの扱いについては防水性能の記事に詳しく書いておりますので、あわせてご覧ください。
一方、白さのほうは店頭でもすぐに分かります。先代と並べて光の下で傾けてみますと、磨かれた面が返してくる輝きに、通常のステンレスとはわずかに違う落ち着きがあります。派手に光るのではなく、奥行きのある艶、とでも申し上げればよいでしょうか。白樺という静かなモチーフに、この控えめな白さがよく似合っています。
なお、素材が変わっても傷が入らなくなるわけではありません。使い込めば細かな擦り傷は入ります。ただ、それは必ずしもマイナスばかりではないと思っております。腕の上で過ごした時間とともに、少しずつ馴染んでいくものです。傷一つない新品のときとはまた違う、その方ならではの表情になっていく。そうお伝えすると、納得してくださるお客様も少なくありません。
微調整中留とテーパードブレス ── 工具なしで2mm×3段・計6mm
毎日着ける時計として、私がいちばん評価しているのがここです。SLGH031 の中留には微調整機構が組み込まれており、専用工具を使わずに、2mm単位で3段階、合計6mmの範囲で長さを変えられます。

手首の太さは、季節でも、一日のなかでも変わります。夏の午後に少しきついと感じる。冬の朝は逆に余る。コマを一つ抜くには大きすぎて、かといってそのままでは落ち着かない──そういう「あと少し」を、指先だけで詰めたり緩めたりできます。先代 SLGH005 ではこの機構がありませんでしたので、当店でも、調整のために時計をお預かりする場面がありました。
ブレスレット自体も、先細り(テーパード)を強めた形になりました。手首側へ向かって幅が絞られますので、横から見たときのシルエットが軽やかです。165gという重さがありながら、腕へのおさまりが自然に感じられるのは、このテーパードと中留の効き方によるところが大きいと思います。

派手な変更ではありません。カタログの写真で分かる種類の進化でもありません。けれども、毎日着ける時計ほど、こういう部分が満足度を左右します。実用本位の、良い改良だと思います。
リュウズの新意匠
今回の新作機械式モデルでは、リュウズの意匠にもアップデートが施されています。
具体的には、「GS」ロゴを浮き彫りにするように周囲が深く彫り込まれ、その背景部分にマットな梨地が施されるという、手の込んだ造形へと刷新されました。従来は、丸みを持たせた鏡面のリュウズトップにロゴが配されており、それとは見た目が大きく異なります。


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合わせて注目したいのが、マットな質感の背景に対し、GSロゴそのものは引き続きポリッシュで美しく仕上げられている点です。異なる仕上げが生み出す質感のコントラストによって、小ぶりなディテールでありながらもブランドロゴがいっそう際立って見えるようになりました。
ちなみにこの仕様のリュウズは、現行のスプリングドライブモデルで先行して採用されていたものです。サテン仕上げが多用されるエボリューション9コレクションとも相性が良く、細部まで完成度が突き詰められているのが分かります。
キャリバー9SA5 ── ハイビート36000と約80時間
外装が新しくなった一方で、中身は先代から受け継がれています。搭載するのはメカニカル ハイビート キャリバー 9SA5。毎時36,000振動で動く、グランドセイコーの機械式の主力です。

精度は、工場出荷前にムーブメント単体で測る静的精度が平均日差プラス5秒からマイナス3秒。実際に腕に着けた状態での携帯精度は、公式に日差プラス8秒からマイナス1秒と示されています。カタログで目にする機会が多いのは前者ですが、お客様が日々向き合われるのは後者のほうです。両方を把握しておいていただくと、実際の運用イメージがつかみやすいと思います。
パワーリザーブは最大巻上時で約80時間。金曜日の夜に外して、月曜の朝にそのまま着けられる計算です。機械式を複数本お持ちの方にとって、この余裕はありがたいところだと思います。
裏ぶたはシースルーバックです。毎時36,000振動で時を刻む9SA5の、なめらかで力強い動きを、その場で見つめることができます。9SA5そのものの成り立ちについては、9SA5搭載の新作4本を比較した記事でまとめておりますので、ムーブメントから選びたいという方はそちらもご覧ください。
先代 SLGH005 から何が変わったのか
SLGH031 の先代にあたるのが、2021年に登場した SLGH005 です。ハイビート白樺の原点というべき一本で、エボリューション9スタイルの外装と、当時の新世代キャリバー9SA5を、白樺ダイヤルとともにまとめ上げたモデルでした。私はこの SLGH005 を、三年近く店頭でお客様にお渡ししてきました。
変わった点と、変わらなかった点を表にします。
| 項目 | 先代 SLGH005(2021) | 新作 SLGH031(2026) |
|---|---|---|
| ケース・ブレス素材 | ステンレススチール | エバーブリリアントスチール |
| 中留 | 微調整機構なし | 微調整機構あり(工具不要・2mm×3段・計6mm) |
| ブレスの形状 | 標準 | テーパードを強化 |
| リュウズ | 鏡面トップにGSロゴ | 彫り込み+マット梨地の新意匠 |
| 重さ | — | 165g |
| ダイヤル | 白樺パターン | 白樺パターン(同系) |
| キャリバー | 9SA5 | 9SA5 |
| サイズ | 横40.0mm・厚さ11.7mm | 横40.0mm・厚さ11.7mm |
| 防水 | 日常生活用強化防水(10気圧) | 日常生活用強化防水(10気圧) |
| 価格(税込) | 1,276,000円 | 1,386,000円 |
こうして並べますと、変わったのは外装と装着性、変わらなかったのは心臓部と佇まい、という整理になります。キャリバーも、径も、厚さも、防水性能も同じ。そのうえで、素材が一段引き上げられ、毎日の着け外しが楽になった。奇をてらわずに受け継ぐという姿勢は、グランドセイコーらしい誠実さだと私は思います。
なお、先代 SLGH005 はメーカーのカタログから外れる予定のモデルです。これから新たにお求めいただく一本としては、現行の SLGH031 をご案内しております。
白樺ハイビートは3本ある ── SLGH031・SLGH029・SLGH033 の選び分け
2026年の新作で、白樺ダイヤルの機械式ハイビートは3本になりました。SLGH031 のほかに、黒い夜の白樺林を宿す SLGH029、新緑の白樺林を宿す SLGH033 があります。「白樺の新作」を探してこのページにたどり着かれた方のために、三本の違いを整理しておきます。
| 品番 | ダイヤル | ケース素材・重さ | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| SLGH031 | 白銀色(白樺パターン) | エバーブリリアントスチール・165g | 1,386,000円 |
| SLGH029 | ブラック(夜の白樺林) | ブライトチタン・112g | 1,518,000円 |
| SLGH033 | グリーン(新緑の白樺) | エバーブリリアントスチール・165g | 1,386,000円 |
三本とも、キャリバーもサイズも防水性能も共通です。分かれるのは、文字盤の色と、ケース素材から来る重さ、そして価格です。

重さを優先されるなら SLGH029 です。ブライトチタンのため112gと、SLGH031 より53g軽くなります。手首が細めの方、あるいは一日中着けたままで過ごされる方から選ばれやすい一本です。そのかわり価格は1,518,000円と、三本のなかでは最も高くなります。詳しくは SLGH029 の記事をご覧ください。

SLGH033 は、SLGH031 と素材も重さも価格も同じです。違うのは文字盤の色だけ、と言ってしまってよいと思います。白銀色の静けさを取るか、新緑の瑞々しさを取るか。こればかりは実物を並べてご覧いただくのがいちばん早く、店頭でも、最後はお客様がしばらく黙って見比べられます。詳しくは SLGH033 の記事をご覧ください。
白樺にはこのほか、スプリングドライブの系統や手巻の系統もあります。機械式に限らず白樺全体を見渡したいという方は、白樺モデルの選び方をまとめた記事をご覧ください。9SA5搭載モデル同士で比べたい方には、新作4本の比較記事が近いと思います。
よくあるご質問
SLGH031 の発売日と価格を教えてください。
2026年10月9日の発売です。価格は1,386,000円(税込)です。先代 SLGH005 の1,276,000円から110,000円上がっています。
重さは何グラムですか。重いですか。
165gです。軽い時計ではありませんが、重心がケース中央に収まり、ブレスレットが腕の丸みに沿うため、数字から受ける印象よりは落ち着いて着けられます。軽さを優先されるなら、ブライトチタンの SLGH029(112g)をご検討ください。
手首が細いのですが、横40.0mmは大きすぎませんか。
エボリューション9スタイルはラグが短く設計されており、縦の寸法は47.0mmに収まっています。同じ40mm級でも腕へのはみ出しは少ないほうです。とはいえ袖口への収まりは個人差が大きいため、可能であれば一度ご試着いただくのが確実です。当店にお立ち寄りいただければ、私がご案内いたします。
先代 SLGH005 と、どちらが向いていますか。
SLGH005 はメーカーのカタログから外れる予定のモデルですので、これから新たにお求めいただくのであれば SLGH031 をご案内しております。エバーブリリアントスチールの耐食性と、工具不要の微調整中留が加わっており、日々の使い勝手は確実に良くなっています。
ブレスレットのサイズ調整は自分でできますか。
微調整の範囲であれば、工具なしで可能です。2mm単位で3段階、合計6mmまでスライドさせられます。それより大きく変える場合はコマの着脱が必要ですので、当店でお受けいたします。
水に濡れても大丈夫ですか。
日常生活用強化防水(10気圧)ですので、日常的な水しぶきや汗、雨は問題ありません。ただし蛇口やシャワーのように局所的に強い水圧がかかる場面では、表示の等級にかかわらず防水不良のおそれがあります。パッキンは経年で劣化もしますので、水まわりでのご使用は避けていただくのが安心です。
在庫はありますか。取り寄せになりますか。
在庫の状況は日々変わりますので、お問い合わせいただくのが確実です。実物をご覧いただける状態かどうかも、あわせてお伝えいたします。
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白樺ハイビートは、実機をご覧いただくことで魅力がいっそう伝わる一本です。白銀色の盤面に広がる白樺林が光で表情を変える様子や、ハイビートの秒針の動きは、写真だけではお伝えしきれません。ご来店が難しいお客様には、実物の動画をお撮りしてお送りすることもできます。SLGH031 の在庫やご予約については、どうぞお気軽にお問い合わせください。
※掲載内容は2026年11月時点のものです。価格は変更となる場合がございます。最新の情報は当店までお問い合わせください。
ハラダ GS担当 藤本
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