グランドセイコー「厳美渓」── 新作 SLGH035 は、元モデル SLGH021 から何が変わったのか

2026.07.03 2026.07.16 約9分 連載コラム

※ 価格・仕様等の商品情報は掲載時点の内容です。最新情報はHARADA(Grand Seiko Salon)にてご確認ください。

新作SLGH035 厳美渓 ライトブルー 着用。エバーブリリアントスチール(自社撮影)

厳美渓の機械式ハイビートが、レギュラーモデルになって帰ってくる ── 新作 SLGH035

グランドセイコーの人気モチーフ「厳美渓(Genbi Valley・岩手県一関市)」が、2026年に新世代へと更新されます。厳美渓の力強い岩肌を表現したダイヤルは、かつて毎時36,000振動の「ハイビート36000」(キャリバー9SA5)を搭載するSLGH021のみで採用されたものでした。この厳美渓ダイヤルを持つ最新作が、今回ご紹介する SLGH035 です。

新作SLGH035の大きなトピックは入手性の変化です。先代の SLGH021 は世界限定1,000本の数量限定モデルで、手の届きにくい一本でした。しかしながら、新作 SLGH035 は限定本数の記載のないレギュラー生産モデルとして登場します。数量限定ゆえ諦めるしか厳美渓が、定番の選択肢として帰ってくる──ここが今回の新旧を語るうえでの核になります。

本稿では、SLGH035が先代 SLGH021 から何が変わり、何が受け継がれたのかを、ひとつずつ具体的に深掘りしていきます。緑がかった色調からライトブルーへの変更をはじめ、技術仕様と入手性の両面から、二本を見比べていきましょう。

新作 SLGH035 文字盤クローズアップ ライトブルーの型打ち模様
新作 SLGH035 の文字盤クローズアップ。初夏の清流を思わせるライトブルーと、SLGH021 から受け継いだ渓谷の岩肌の型打ち模様が斜めの光で浮かび上がる(実機の自社撮影)

元モデル SLGH021 ── 数量限定で語り継がれた厳美渓

新作を語る前に、その背景にある一本に触れておきます。SLGH021は、2024年6月に登場した厳美渓モチーフのハイビートで、世界限定1,000本の数量限定モデルでした。発表とともに評価を集め、厳美渓という名を語り継ぐ一本となりました。

私自身、SLGH021が登場した当時の店頭の空気をよく覚えています。限定という性格もあって、現物に触れられる機会そのものが限られていました。だからこそ、厳美渓というモチーフは「実際に手にした人の話」よりも「写真や噂で知る存在」として広まっていった印象があります。良いデザインほど、限定ゆえに距離が生まれてしまう。そのもどかしさを、私は正直に覚えています。

スペックを見ると、SLGH021もキャリバー9SA5を積むハイビート36000であり、パワーリザーブ約80時間、径40.0mm・厚11.7mm、ケースとブレスレットはエバーブリリアントスチール製。文字盤はライトグリーン系で、秒針はテンパーブルー、限定モデルにふさわしくロゴはゴールドカラーに仕上げられていました。つまり、ケースサイズやムーブメントのスペックを同じくする新作は、バリエーション違いやマイクロアップグレード版であると考えられるでしょう。

ちなみに、SLGH021ではパステル系のライトグリーンダイアルが採用されていました。新作のライトブルーが「初夏の清流」の表情だとすれば、SLGH021は「新緑の渓谷」の表情だった、と言えるかもしれませんね。

※元モデル SLGH021 は世界限定1,000本の数量限定モデルのため、当店での撮影画像はありません。

新作 SLGH035 ── レギュラー生産として帰ってきた厳美渓

新作 SLGH035 は2026年10月9日発売予定ゆえ、私が触れているのはあくまで先行で拝見した展示個体の範囲であり、長く使い込んだうえでの所感ではないことを、はじめにお断りしておきます。

その前提でも、展示個体を手に取った時間には確かな手応えがありました。ライトブルーの文字盤は、店内の照明の下で青みが強まったり、白っぽく見えたりと、視線の動きに応じて表情を変えます。私の手首はおよそ18cmですが、径40.0mm・厚11.7mmという寸法は手首に自然に収まり、袖口での収まりも素直でした。

技術仕様は、ハイビートの核をそのまま受け継いでいます。キャリバー9SA5、毎時36,000振動、平均日差+5〜−3秒、パワーリザーブ約80時間。ケースとブレスレットはエバーブリリアントスチールで、新採用された中留の微調整機構により、専用工具なしで2mm単位・3段階のスライド調整ができます。シースルーバックから9SA5の機構をのぞける点も、所有する楽しみのひとつになるでしょう。

照明の角度をわずかに変えるだけで、文字盤の表面には渓谷の岩肌を思わせる型打ち模様の陰影が浮かびます。初夏の清涼感あふれる清流を写し取ったような佇まいで、お客様にもぜひ光にかざしてご覧いただきたいと思える表情でした。

新作 SLGH035 着用イメージ 40mmケースの収まり
新作 SLGH035 の着用イメージ。約18cm手首での40mmケースの収まりと、エバーブリリアントスチールブレスの光沢(実機の自社撮影)

変更点① 特別仕様の簡素化と、改められた色調

ひとつ目の変化は、限定モデルならではの特別仕様が、通常仕様へと整理された点と、ダイヤルの色調が改められた点です。かつてゴールドカラーであったロゴ、ブルースティールの秒針は、通常のスティール仕様へと簡素化されました。そして文字盤の色合いも、先代のライトグリーン系から、ライトブルー系へと色調が改められています。

展示個体を見比べた率直な印象として、私はこの簡素化を物足りなさではなく、潔さとして受け取りました。限定感が薄れた分、厳美渓というモチーフを表現する文字盤や、その運針自体に意識が向かう。装飾で語るのではなく、文字盤の質感とムーブメントの本質的な魅力で語る一本に近づいた、という感覚です。

ダイヤルの色調の変化はグランドセイコー公式の製品情報でも確認できる特徴です。SLGH021 から受け継いだ型打ち模様に初夏の清流を思わせるライトブルーが重なり、いっそう涼しげな表情を見せるようになりました。

緑から青へ。同じ厳美渓を題材にしながら、二本のあいだには季節をひとつまたいだような色調の違いがあります。先代と新作を見比べる楽しみのひとつだと言えるでしょう。

新作 SLGH035 ロゴ・秒針まわりの通常仕様ディテール
新作 SLGH035 のロゴ・秒針まわりの通常仕様ディテール。文字盤のライトブルーの質感とあわせて(実機の自社撮影)

変更点② 数量限定 → レギュラー生産

新作と元モデルの最も大きな違いには、入手性もあげられるでしょう。SLGH021が世界限定1,000本の数量限定だったのに対し、SLGH035は限定本数の記載のないレギュラー生産モデルとして登場します。限定ゆえに手の届きにくかった厳美渓が、定番の選択肢として帰ってきた──これが今回の新作を語るうえでの中心になります。

私が店頭で受ける相談のなかには、「あの厳美渓に憧れていたが、限定で縁がなかった」という声が確かにありました。良いと感じたものを、タイミングや本数の壁で諦める。その経験をされた方にとって、レギュラー生産という形は素直に朗報でないかと感じています。

また、レギュラー生産であることのメリットには、購入の決断を急ぐことなく、さまざまなモデルとの比較検討を進めやすい点などもあげられるでしょう。万が一の際にも、限定モデルに比べて圧倒的に替えが効きやすいという点も、人によっては魅力になりうるかもしれません。

ただし、当然ながら数量限定作であったことそのものに価値を見出す方もいます。SLGH021が持っていた「世界で1000本のみという特別さ」は、レギュラーモデルの新作にはありません。そこは、選び手によって受け止めが分かれる点だと考えています。

新作 SLGH035 正面
新作 SLGH035 の正面(実機の自社撮影)。元モデル SLGH021 は世界限定1,000本の数量限定モデルのため画像はありません。最大の違いは入手性で、新作はレギュラー生産として検討しやすくなりました

リュウズに至るまでのアップデート

今回、一挙発表された新作機械式モデルでは、ささやかながらリュウズの意匠にもアップデートが施されています。

具体的には、「GS」ロゴを浮き彫りにするように周囲が深く彫り込まれ、その背景部分にマットな梨地が施されるという、非常に手の込んだ造形へと刷新されました。従来作では、丸みを持たせた鏡面のリュウズトップにロゴが配されていましたが、それとは大きく異なる見た目です。

↑クリックで拡大

新仕様で合わせて注目したいのが、マットな質感の背景に対し、GSロゴそのものは引き続きポリッシュで美しく仕上げられている点です。異なる仕上げが生み出す質感のコントラストによって、小ぶりなディテールでありながらもブランドロゴがいっそう際立って見えるようになりました。

ちなみにこの仕様のリュウズは、現行のスプリングドライブモデルで先行して採用されていたもの。サテン仕上げが多用されるエボリューション9コレクションとも相性の良いデザインであり、細部まで完成度が突き詰められているのが分かります。

変わらない核 ── 9SA5ハイビート・80時間・40mmの佇まい

色や仕様、入手性が変わっても、変わらない核があります。それがメカニカルハイビート36000のキャリバー9SA5、径40.0mm・厚11.7mmという寸法、そしてエバーブリリアントスチールという素材です。これらはSLGH021からSLGH035へと、そのまま受け継がれています。

私がハイビートをお客様にご紹介するとき、いつもお伝えするのは「秒針の動きを一度見てください」ということです。毎時36,000振動の運針は、目で追ったときのなめらかさが違います。展示個体のSLGH035でも、当然ながらその小気味良い鼓動が感じられました。こういった基礎が完成されているからこそ、色や仕様の変化に安心して目を向けられます。

さらに、本作では新たに中留に微調整機能が加わり、外観にほとんど変化がないまま、着用性が高められています。毎日着用する腕時計として、嬉しい仕様となるでしょう。

渓谷の色は季節ごとに移ろっても、岩を削る水の流れそのものは変わりません。SLGH021からSLGH035へ受け継がれた核も、その流れのように一貫したものだと感じています。

新作 SLGH035 シースルーバックから見た9SA5
新作 SLGH035 のシースルーバックから見たキャリバー9SA5。ハイビートの機構と仕上げのディテール(実機の自社撮影)

どう選ぶか/正規販売店ハラダから

選び方の結論を先にお伝えします。これから厳美渓のハイビートを手にしたい方には、レギュラー生産で検討しやすく、アフターサービスの見通しも立てやすい新作 SLGH035 をおすすめします。元モデル SLGH021 は数量限定で世に出た一本で、ここでは厳美渓の系譜を語るうえでの背景として紹介しました。主役は、あくまで新作 SLGH035 です。

私がお客様にお伝えしたいのは、限定で諦めた厳美渓に、もう一度向き合える機会が来たということです。展示個体を拝見した範囲ではありますが、ライトブルーの文字盤と9SA5の組み合わせは、長く付き合う一本としての説得力を備えていました。気になる方は、ぜひ一度ご来店のうえ、文字盤の表情と運針をその目でご確認ください。

正規販売店ハラダでは、SLGH035を正規品としてお取り扱いします。お支払いは無金利分割を最大100回までご利用いただけます。また、お支払い回数が60回以下の場合(クレジットカード・銀行振込でのお支払いも含む)には、ホディンキー社のウォッチケアによる3年間の対物保険もご用意しており、万一の落下や衝突といった事故にも備えられます。付帯条件は今後変更となる場合があります。なお新作は2026年10月9日発売予定です。入荷状況や納期、ご予約については、お問い合わせまたはご来店にてご案内いたします。

岩手の渓谷を映した一本が、限定という枠を越えて、定番の選択肢として帰ってきました。その表情を、店頭で直接お確かめいただけましたら幸いです。

新作 SLGH035 サイドビュー
新作 SLGH035 のサイドビュー。正規販売店ハラダの案内カットとして(実機の自社撮影)

SLGH035 のお問い合わせ・ご予約フォーム →

ハラダ 店舗案内・ご来店予約 →

ハラダ GS担当 藤本

時計の購入・在庫確認はこちら

当サイトの記事は、正規販売店ハラダのCWC取得スタッフが執筆・監修しております。

また、写真はすべて実機を撮影したものを使用しており、生成AIによる架空の商品画像は一切使用していません。

正規新品のみを取り扱う専門店として、正確な情報発信をお約束します。

コンテンツ制作ポリシーおよび生成AI利用指針の詳細はこちら
店舗外観

モダンで洗練された外観がお客様をお迎えします。

店内写真1

ジュエリーも幅広く揃うのでカップルや家族での買い物も長時間楽しむことができる。

店内写真2

4階にはバーカウンターとイベントスペースが設置されている。

店内写真4

落ち着いた雰囲気のバーカウンターで時計について語らうこともできる。

店内写真3

フロアごとに楽しみが見つけやすい建物の構造となっている。

株式会社ハラダは、徳島県で創業90年以上の歴史を持つ、日本正規高級時計協会(AJHH)加盟の腕時計正規販売店です。県内で眼鏡店を含む4店舗を展開し、お客様一人ひとりに最適な一本をご提案してまいりました。

2023年4月には本店をリニューアルし、より一層、腕時計が持つ本質的な魅力をご体感いただける空間へと生まれ変わりました。正規販売店ならではの確かな品質と、豊富な品揃えとともに、皆様のご来店、ご注文を心よりお待ちしております。

会社名 株式会社ハラダ
所在地 〒770-8053 徳島県徳島市沖浜東1丁目9
電話番号
販売ページ
会社概要 詳しい会社概要はこちら