新作 SLGH029 とは ── 2026年10月9日に発売された「夜の白樺」
白樺ダイヤルの黒、いわゆる「夜の白樺」に、2026年の新作が加わりました。SLGH029、2026年10月9日の発売です。価格は1,518,000円(税込)、ケースとブレスレットはブライトチタン、重さは112g。搭載するのは毎時36,000振動のキャリバー9SA5です。

この記事では、当店に入荷した実機を手元に置きながら、SLGH029 がどんな一本なのかを順にお伝えします。112gという軽さが実際どう効くのか、黒い白樺のダイヤルは光の下でどう見えるのか、そして先代 SLGH017 から何が変わったのか。カタログの数字だけでは分からない部分を中心に書いていきます。
まず、主なスペックを一覧にしておきます。
| 品番 | SLGH029 |
| コレクション | エボリューション9 コレクション |
| ダイヤル | ブラック(夜の白樺林パターン) |
| ケース素材 | ブライトチタン(耐メタルアレルギー) |
| サイズ | 横40.0mm × 縦47.0mm・厚さ11.7mm |
| 重さ | 112g |
| キャリバー | 9SA5(メカニカル 自動巻・手巻つき) |
| 振動数 | 毎時36,000振動(ハイビート36000) |
| 精度 | 静的精度 平均日差+5秒〜-3秒/携帯精度 日差+8〜-1秒 |
| パワーリザーブ | 最大巻上時 約80時間 |
| 防水 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
| 価格(税込) | 1,518,000円 |
| 発売日 | 2026年10月9日 |
| 先代 | SLGH017 |
「夜の白樺」とはどんなダイヤルか ── 黒樺・黒白樺とも呼ばれる一本
白樺ダイヤルといえば白銀色を思い浮かべる方が多いと思いますが、その黒い版が SLGH029 です。お客様からは「黒樺」「黒白樺」と呼ばれることもあり、英語では Night Birch、つまりナイトバーチと表記されます。お問い合わせの際も、この呼び方でご相談をいただくことがよくあります。

公式の説明では、夜闇の中に佇む白樺の幹が月光に照らされて浮かび上がり、凛とした気配を湛える情景を、型打模様とブラックのダイヤルで表現したとされています。描かれているのは一本の木ではなく、白樺の林そのものです。モチーフとなっているのは、グランドセイコースタジオ 雫石の近くに広がる白樺林です。
実機を見ていただくと分かるのですが、正面から見た SLGH029 は、ほとんど真っ黒な文字盤です。模様はほぼ沈んでいます。ところが少し角度をつけると、型打ちされた幹の稜線が光を拾い、林の輪郭が黒の中から立ち上がってきます。白銀色の白樺が常に表情を見せているのとは逆で、こちらは見る角度によって現れたり消えたりする。店頭でも、お客様が手首をゆっくり傾けながら、しばらく黙ってご覧になる文字盤です。
スーツやジャケットに合わせたときの収まりの良さも、黒ならではです。白銀色の白樺は明るく目を引きますが、こちらは静かに腕の上にあります。日常使いの一本として黒を選ばれる方が多いのは、そのあたりの事情だと思います。
ブライトチタンの112g ── 一日着けていて負担になりにくい
SLGH029 がほかの白樺ハイビートと決定的に違うのは、ケースとブレスレットの素材です。2026年の白樺ハイビート3本のうち、ブライトチタンを採用しているのはこの一本だけで、重さは112gに収まっています。同じ寸法でエバーブリリアントスチールの SLGH031 と SLGH033 が165gですから、53g軽い計算です。

53gという差が実際どれくらいかと申しますと、腕に乗せた瞬間に分かる程度の差です。両方を交互に着け替えていただくと、ほぼすべてのお客様が「こちらは軽いですね」とおっしゃいます。手首を返したときの振られ方が違いますし、一日の終わりの疲れ方も違ってきます。デスクワークで一日中着けたままにされる方、あるいは腕時計の重さが気になって機械式を敬遠されてきた方には、この112gが効きます。
ブライトチタンは、グランドセイコーが使うチタン素材のなかでも白く明るい輝きを持つもので、公式には耐メタルアレルギーの素材として挙げられています。金属アレルギーで腕時計を諦めてこられた方からのご相談も、実際にいただきます。そうしたお客様にとって、この素材は単なる軽さ以上の意味を持ちます。
一点だけ正直に申し上げますと、チタンはステンレス系の素材に比べて擦り傷が付きやすい性質があります。使い込めば細かな傷は入ります。ただ、艶を抑えた仕上げのため傷が目立ちにくく、全体として馴染んでいく種類の変化です。そのあたりをご心配される場合は、店頭で実物の仕上げをご覧いただくのが早いと思います。
実機の着け心地 ── 横40.0mm・縦47.0mm・厚さ11.7mm
寸法は、横40.0mm、縦47.0mm、厚さ11.7mm。白樺ハイビート3本すべてに共通する数字です。
私の手首はおよそ18cmですが、エボリューション9スタイルはラグが短く設計されていますので、横40.0mmという数字から想像されるよりも腕への収まりはおとなしく感じられます。縦が47.0mmに抑えられているため、手首が細めの方でもラグが側面からはみ出しにくい。同じ40mm級でも時計によってずいぶん差が出るところですが、このケースは素直です。
厚さ11.7mmは、シャツの袖口を通る厚みです。スーツでお使いになる方からよくご質問をいただきますが、袖口に引っかかって往生するという厚みではありません。そこに112gという軽さが加わりますので、着けていることを忘れている時間がいちばん長い一本かもしれません。
微調整中留とテーパードブレス ── 工具なしで2mm×3段・計6mm
先代 SLGH017 からの変更点として、日々の使い勝手にいちばん効くのがここです。SLGH029 の中留はワンプッシュ三つ折れ方式で、微調整機構が組み込まれています。専用工具を使わずに、2mm単位で3段階、合計6mmの範囲で長さを変えられます。

手首の太さは、季節でも、一日のなかでも変わります。夏の午後に少しきついと感じる。冬の朝は逆に余る。コマを一つ抜くには大きすぎて、かといってそのままでは落ち着かない──そういう「あと少し」を、指先だけで詰めたり緩めたりできます。先代 SLGH017 にはこの機構がありませんでしたので、当店でも調整のために時計をお預かりする場面がありました。
この中留の採用に合わせて、ブレスレット自体も先細り(テーパード)のかかった仕様に変わりました。手首側へ向かって幅が絞られますので、横から見たときのシルエットが軽やかです。もともと112gという軽さがありますから、腕へのおさまりは3本のなかでもっとも自然だと感じます。
劇的な刷新ではありません。ムーブメントが新世代になったわけでも、精度が上がったわけでもありません。完成度の高かった先代に、日々の所作をひとつ滑らかにする機構を足した。そういう種類の進化です。
リュウズの新意匠
今回の新作機械式モデルでは、リュウズの意匠にもアップデートが施されています。
具体的には、「GS」ロゴを浮き彫りにするように周囲が深く彫り込まれ、その背景部分にマットな梨地が施されるという、手の込んだ造形へと刷新されました。従来は、丸みを持たせた鏡面のリュウズトップにロゴが配されており、それとは見た目が大きく異なります。


↑クリックで拡大
合わせて注目したいのが、マットな質感の背景に対し、GSロゴそのものは引き続きポリッシュで美しく仕上げられている点です。異なる仕上げが生み出す質感のコントラストによって、小ぶりなディテールでありながらもブランドロゴがいっそう際立って見えるようになりました。
ちなみにこの仕様のリュウズは、現行のスプリングドライブモデルで先行して採用されていたものです。サテン仕上げが多用されるエボリューション9コレクションとも相性が良く、細部まで完成度が突き詰められているのが分かります。
キャリバー9SA5 ── ハイビート36000と約80時間
外装が新しくなった一方で、中身は先代から受け継がれています。搭載するのはメカニカル ハイビート キャリバー 9SA5。グランドセイコーが2020年に投入した世代で、デュアルインパルス脱進機とフリースプラングテンプを備えています。

毎時36,000振動という高い振動数を保ちながら、約80時間のパワーリザーブを両立させているのが9SA5の特徴です。金曜日の夜に外して、月曜の朝にそのまま着けられる計算になります。機械式を複数本お持ちの方にとって、この余裕はありがたいところだと思います。
精度は、工場出荷前にムーブメント単体で測る静的精度が平均日差プラス5秒からマイナス3秒。実際に腕に着けた状態での携帯精度は、公式に日差プラス8秒からマイナス1秒と示されています。カタログで目にする機会が多いのは前者ですが、お客様が日々向き合われるのは後者のほうです。両方を把握しておいていただくと、実際の運用イメージがつかみやすいと思います。
裏ぶたはシースルーバックです。黒い文字盤の静けさとは対照的に、裏側では毎時36,000振動の輪列がなめらかに動いています。9SA5そのものの成り立ちについては、9SA5搭載の新作4本を比較した記事でまとめておりますので、ムーブメントから選びたいという方はそちらもご覧ください。
先代 SLGH017 から何が変わったのか
SLGH029 の先代にあたるのが SLGH017 です。エボリューション9スタイルの設計と、雫石で磨かれるハイビート36000を一つにまとめた、完成度の高い一本でした。変わった点と、変わらなかった点を表にします。
| 項目 | 先代 SLGH017 | 新作 SLGH029(2026) |
|---|---|---|
| 中留 | 微調整機構なし | 微調整機構あり(工具不要・2mm×3段・計6mm) |
| ブレスの形状 | 標準 | テーパードを強化 |
| リュウズ | 鏡面トップにGSロゴ | 彫り込み+マット梨地の新意匠 |
| ケース素材 | ブライトチタン | ブライトチタン・112g |
| ダイヤル | ブラック(夜の白樺) | ブラック(夜の白樺林パターン) |
| キャリバー | 9SA5 | 9SA5 |
| サイズ | 横40.0mm・厚さ11.7mm | 横40.0mm・厚さ11.7mm |
| 防水 | 日常生活用強化防水(10気圧) | 日常生活用強化防水(10気圧) |
| 価格(税込) | — | 1,518,000円 |
こうして並べますと、変わったのは装着まわりの細部、変わらなかったのは心臓部と佇まい、という整理になります。先行展示の場で二本を並べて見比べたときも、佇まいの差はごくわずかで、機構を知らなければ見分けは難しいほどでした。ムーブメントを刷新する必要がないほど9SA5が成熟していた、ということの裏返しでもあります。
なお、先代 SLGH017 はメーカーのカタログから外れる予定のモデルです。これから新たに夜の白樺をお求めいただく一本としては、現行の SLGH029 をご案内しております。
白樺ハイビートは3本ある ── SLGH029・SLGH031・SLGH033 の選び分け
2026年の新作で、白樺ダイヤルの機械式ハイビートは3本になりました。黒の SLGH029 のほかに、白銀色の SLGH031、新緑のグリーンを宿す SLGH033 があります。三本の違いを整理しておきます。
| 品番 | ダイヤル | ケース素材・重さ | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| SLGH029 | ブラック(夜の白樺林) | ブライトチタン・112g | 1,518,000円 |
| SLGH031 | 白銀色(白樺パターン) | エバーブリリアントスチール・165g | 1,386,000円 |
| SLGH033 | グリーン(新緑の白樺) | エバーブリリアントスチール・165g | 1,386,000円 |
三本とも、キャリバーもサイズも防水性能も共通です。分かれるのは、文字盤の色と、ケース素材から来る重さ、そして価格です。
軽さと、金属アレルギーへの配慮を優先されるなら SLGH029 です。112gという数字は、この3本のなかでは明確な差になります。そのかわり、ブライトチタンの加工に手間がかかるぶん、価格は1,518,000円と3本のなかで最も高くなります。
明るい白銀色をお求めなら SLGH031 の実機レビューを、新緑のグリーンが気になる方は SLGH033 の記事をご覧ください。白樺にはこのほか、スプリングドライブの系統や手巻の系統もあります。機械式に限らず白樺全体を見渡したいという方は、白樺モデルの選び方をまとめた記事が近いと思います。
よくあるご質問
SLGH029 の発売日と価格を教えてください。
2026年10月9日の発売です。価格は1,518,000円(税込)で、同時発売の白樺ハイビート3本のなかでは最も高い設定になっています。ブライトチタンを採用しているためです。
重さは何グラムですか。軽いですか。
112gです。同じ寸法でエバーブリリアントスチールの SLGH031・SLGH033 が165gですので、53g軽くなります。腕に乗せた瞬間に分かる程度の差で、一日中着けたままにされる方ほど効いてきます。
「黒樺」「黒白樺」「ナイトバーチ」は同じものですか。
いずれも、この黒い白樺ダイヤルを指す通称です。公式の表記は「夜の白樺」で、英語表記は Night Birch です。機械式ハイビートの現行モデルは SLGH029 の一本です。
金属アレルギーがありますが着けられますか。
ブライトチタンは、公式に耐メタルアレルギーの素材として挙げられています。ただし症状には個人差がありますので、ご不安な場合は店頭で実際に装着してお試しいただくのが確実です。
手首が細いのですが、横40.0mmは大きすぎませんか。
エボリューション9スタイルはラグが短く設計されており、縦の寸法は47.0mmに収まっています。同じ40mm級でも腕へのはみ出しは少ないほうです。112gという軽さもありますので、3本のなかではもっとも取り回しの楽な一本です。
ブレスレットのサイズ調整は自分でできますか。
微調整の範囲であれば、工具なしで可能です。2mm単位で3段階、合計6mmまでスライドさせられます。それより大きく変える場合はコマの着脱が必要ですので、当店でお受けいたします。
水に濡れても大丈夫ですか。
日常生活用強化防水(10気圧)ですので、日常的な水しぶきや汗、雨は問題ありません。ただし蛇口やシャワーのように局所的に強い水圧がかかる場面では、表示の等級にかかわらず防水不良のおそれがあります。パッキンは経年で劣化もしますので、水まわりでのご使用は避けていただくのが安心です。詳しくは防水性能の記事をご覧ください。
在庫はありますか。取り寄せになりますか。
在庫の状況は日々変わりますので、お問い合わせいただくのが確実です。実物をご覧いただける状態かどうかも、あわせてお伝えいたします。
正規販売店ハラダから
ハラダは、Grand Seiko の正規販売店です。創業1929年の腕時計専門店として、メーカー保証付きの正規品をお届けし、ご購入後のアフターサービスにも対応します。お支払いは最大100回まで無金利分割をご利用いただけます。さらに、お支払い回数60回以下の場合(クレジットカード・銀行振込でのお支払いも含む)には、ホディンキーウォッチケアによる3年間の対物保険もお付けしています。付帯条件は今後変更となる場合があります。
夜の白樺は、実機をご覧いただくことで魅力がいっそう伝わる一本です。正面では沈んでいる黒が、角度を変えた瞬間に林の輪郭を見せる。この変化は、写真だけではお伝えしきれません。ご来店が難しいお客様には、実物の動画をお撮りしてお送りすることもできます。SLGH029 の在庫やご予約については、どうぞお気軽にお問い合わせください。
※掲載内容は2026年11月時点のものです。価格は変更となる場合がございます。最新の情報は当店までお問い合わせください。
ハラダ GS担当 藤本
グランドセイコーの在庫・価格の一覧は本店サイトでご確認いただけます:グランドセイコー在庫一覧(正規販売店HARADA本店)