グランドセイコー「白樺」ハイビートの進化 ── 新作 SLGH031 は、先代 SLGH005 から何が変わったのか

2026.06.27 2026.07.15 約9分 連載コラム

※ 価格・仕様等の商品情報は掲載時点の内容です。最新情報はHARADA(Grand Seiko Salon)にてご確認ください。

新作SLGH031 白樺ダイヤルのアップ。縦のラインとブルー針、HI-BEAT 36000(自社撮影)

白樺の機械式(ハイビート)がリニューアル ── 新型 SLGH031

グランドセイコーの人気モデル「白樺」が、2026年にリニューアルされます。白樺ダイヤルには機械式とスプリングドライブの二つの系統がありますが、機械式の白樺は、毎時36,000振動の「ハイビート36000」だけが担ってきました。その機械式・白樺の最新作が、新型 SLGH031 です。いまやグランドセイコーの顔ともいえる白樺の、機械式(ハイビート)の新型といえます。本稿では、先代 SLGH005 から何が変わり、何が受け継がれたのかを、ひとつずつ具体的に深掘りしていきます。

新作SLGH031 白樺 着用(エバーブリリアントスチール・自社撮影)
新作 SLGH031 ── 白樺の縦のラインを宿す銀白ダイヤルと、エバーブリリアントスチールの着用感(自社撮影)

ハラダでGrand Seikoを担当しております、藤本と申します。

白樺は、白く立ち並ぶ白樺の幹を思わせる縦のラインを、銀白のダイヤルに写し取ったモデルです。グランドセイコーを代表する人気ダイヤルのひとつとして知られてきました。今回はその機械式ハイビートの新旧──先代 SLGH005 と新作 SLGH031──を、スペックと、実機で確かめた印象の両面から、順に比べていきます。

新作SLGH031 白樺ダイヤルの拡大 縦のライン(自社撮影)
林立する白樺の幹を思わせる縦のラインが刻まれた銀白のダイヤル(新作 SLGH031)

その白樺を、グランドセイコーの機械式の到達点ともいえるハイビート36000で味わう系譜があります。原点が2021年の SLGH005、そして2026年に登場するのが SLGH031 です。同じモチーフ、同じムーブメントを核にしながら、新作は何を受け継ぎ、何を新しくしたのか。順を追って見ていきましょう。

原点としての SLGH005 ── ハイビート白樺のはじまり(2021)

まず、新作の背景にある一本に触れておきます。SLGH005 は2021年に登場した、ハイビート白樺の原点というべきモデルです。Evolution 9 スタイルの端正な外装と、当時の新世代キャリバー 9SA5 を、白樺ダイヤルとともにまとめ上げた一本でした。

スペックを確認しておきます。搭載するのはメカニカル ハイビート キャリバー 9SA5。精度は平均日差プラス5秒からマイナス3秒、パワーリザーブは約80時間です。ケースは径40.0mm・厚さ11.7mm、素材はステンレススチール。日常生活用強化防水(10気圧)を備えます。

先代SLGH005 白樺 正面 ステンレススチール(自社撮影)
先代 SLGH005 ── ステンレスケースの白樺(2021)

私はこの SLGH005 を、三年近く店頭でお客様にお渡ししてきました。手に取られた方が、文字盤を傾けて縦のラインの表情を確かめ、ふと黙り込む──そんな場面を何度も見てきた一本です。

正直に申し上げますと、ステンレスのケースは、使い込むほど細かな擦り傷も入ってまいります。ただ、それは決してマイナスばかりではないと思っております。腕の上で過ごした時間とともに、少しずつ馴染んでいくものです。傷一つない新品のときとはまた違う、その方ならではの表情になっていく——そうお伝えすると、納得してくださるお客様も少なくありません。

光が差し込むと、銀白の盤面に白樺林を思わせる縦のラインが浮かび上がります。店頭でこの表情をご覧になって、しばらく見入られるお客様も多くいらっしゃいました。完成度が高く、長く愛されてきた一本です。だからこそ私も、次の世代が何を変えてくるのか、楽しみにしておりました。

新作 SLGH031 ── 受け継いだ9SA5と白樺(2026)

SLGH031 は、2026年10月9日に登場する新作です。先に申し上げておくと、本稿執筆の時点では未発売であり、私が触れられたのは先行・展示の個体に限られます。長く所有して使い込んだうえでの感想ではない、という前提でお読みいただけますと幸いです。

そのうえで、先行個体を手にしてまず感じたのは、「変わっていないこと」の多さでした。キャリバーは同じ 9SA5。精度も平均日差プラス5秒からマイナス3秒、パワーリザーブも約80時間。ケースは径40.0mm・厚さ11.7mmと、寸法も先代とそろえてあります。そして白樺ダイヤルの表情も、あの銀白の静けさそのままでした。

新作SLGH031 白樺 正面 エバーブリリアントスチール(自社撮影)
新作 SLGH031 ── エバーブリリアントスチールの白樺(正面)

裏ぶたはシースルーバック。毎時36,000振動で時を刻む 9SA5 の、なめらかで力強い動きを、その場で見つめることができます。受け継ぐべきものは、しっかりと受け継がれている──そう感じました。

完成された原点を、奇をてらわずに受け継ぐ。その姿勢自体が、グランドセイコーらしい誠実さだと私は思います。では、何が新しくなったのか。ここから二つの進化点を、順に見ていきます。

進化点① ステンレス → エバーブリリアントスチール

SLGH031 のもっとも大きな進化は、外装の素材です。先代 SLGH005 のステンレススチールに対し、新作はケースとブレスレットに「エバーブリリアントスチール」を採用しています。

エバーブリリアントスチールは、海辺の環境にも対応する高い耐食性(PREN値40以上)を備えた、グランドセイコーのステンレス素材です。通常のステンレスより錆びに強く、そのうえ輝きの深さにも独特の落ち着きがあります。長く愛用するほど、その素材を選んだ意味が生きてくるのではないでしょうか。

新作SLGH031 ケースサイド エバーブリリアントスチール(自社撮影)
新作 SLGH031 ── エバーブリリアントスチールのケースサイドと艶

先行個体を光の下で傾けてみますと、磨かれた面が返してくる輝きに、通常のステンレスとはわずかに違う落ち着きを感じました。派手に光るのではなく、奥行きのある艶です。グランドセイコーらしい、控えめながら丁寧な仕事だと感じます。

白樺という静かなモチーフには、この落ち着いた輝きがよく似合います。職人の手による鏡面とヘアラインの対比も美しく、つい見入ってしまいました。素材が一段引き上げられたことで、白樺ダイヤルの魅力がいっそう引き立っているように感じます。

進化点② テーパードブレスと微調整中留(工具不要・2mm×3段)

もう一つの進化は、ブレスレットと中留です。SLGH031 では先細り(テーパード)を強めたブレスレットに加え、中留へ微調整機構が組み込まれました。

この微調整機構は、専用工具を使わずに、2mm単位・3段階で長さをスライド調整できる仕組みです。手首は、季節や一日の時間帯でわずかに変わります。夏の午後、少しきついと感じたその場で、工具なしに緩められる──この安心感は、毎日着ける時計だからこそ効いてきます。

新作SLGH031 微調整機構付き中留(自社撮影)
工具不要・2mm単位3段階の微調整中留(新作 SLGH031)

私の手首はおよそ18cmですが、先代では「あと少し」を諦める場面が、正直ありました。コマ単位の調整では大きすぎ、かといってそのままでは少しきつい。その「あと少し」に、新作は自分の指先だけで届きます。

先細りを強めたブレスレットも相まって、装着感は軽やかになったと感じます。時計そのものの存在感はそのままに、腕へのおさまりがより自然になりました。派手な変更ではありませんが、毎日着けるほど満足度を高めてくれる、実用本位の進化だと思います。

新作SLGH031 テーパードブレスを横から見た着用ショット(自社撮影)
先細りを強めたテーパードブレスの、横から見た着用シルエット(新作 SLGH031・自社撮影)

リュウズに至るまでのアップデート

今回、一挙発表された新作機械式モデルでは、ささやかながらリュウズの意匠にもアップデートが施されています。

具体的には、「GS」ロゴを浮き彫りにするように周囲が深く彫り込まれ、その背景部分にマットな梨地が施されるという、非常に手の込んだ造形へと刷新されました。従来作では、丸みを持たせた鏡面のリュウズトップにロゴが配されていましたが、それとは大きく異なる見た目です。

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新仕様で合わせて注目したいのが、マットな質感の背景に対し、GSロゴそのものは引き続きポリッシュで美しく仕上げられている点です。異なる仕上げが生み出す質感のコントラストによって、小ぶりなディテールでありながらもブランドロゴがいっそう際立って見えるようになりました。

ちなみにこの仕様のリュウズは、現行のスプリングドライブモデルで先行して採用されていたもの。サテン仕上げが多用されるエボリューション9コレクションとも相性の良いデザインであり、細部まで完成度が突き詰められているのが分かります。

変わらない核 ── 9SA5ハイビート・白樺の表情・40mmの佇まい

ここまで進化点を述べてきましたが、私がもっとも語りたいのは「変わらなかったもの」です。グランドセイコーが、二世代にわたって守り抜いた核があります。

第一に、キャリバー 9SA5 です。毎時36,000振動のハイビートが生む運針はなめらかで、力強さもあります。秒針が文字盤の上をすべるように進む様子は、一度ご覧いただくと印象に残るはずです。精度は平均日差プラス5秒からマイナス3秒、パワーリザーブは約80時間。週末に外しておいても、月曜の朝に止まらず動いている余裕があります。

先代SLGH005 シースルーバック ハイビート36000 9SA5(自社撮影)
シースルーバックから望むハイビート36000・キャリバー9SA5(先代 SLGH005)

第二に、白樺ダイヤルです。新作と先代は同じ仕様で、銀白の盤面と林立する幹を思わせる縦のラインの表情は、そのまま受け継がれています。光の角度で表情が移ろう美しさも、世代を越えて変わりません。

新作SLGH031 白樺ダイヤルのアップ。縦のラインとブルー針、HI-BEAT 36000(自社撮影)
白樺林を思わせる縦のラインと、ハイビート36000のブルー秒針(新作 SLGH031・自社撮影)

そして第三に、40.0mmという佇まい。大きすぎず、小さすぎない。スーツの袖口にも、休日のニットにも収まる普遍性です。新しい素材とブレスをまといながら、腕に乗せたときの「ちょうどよさ」は変わっていませんでした。変わらないものを、変わらずに守る。そこにこそ、白樺ハイビートの揺るがない価値があるのだと思います。

どちらの白樺を選ぶか

二世代を見比べたうえで、選び方を整理します。新しい外装の心地よさ、高い耐食性、そして工具不要の微調整をお求めなら、SLGH031 がよいでしょう。日々の使い勝手まで磨き込まれた、白樺ハイビートの現在地です。

新作SLGH031 装着者視点のリストショット(自社撮影)
装着者の視点から見た新作 SLGH031。40.0mmの佇まいが腕になじむ(自社撮影)
先代SLGH005 白樺 着用(自社撮影)
先代 SLGH005 ── 白樺ハイビートの着用(2021)

その出発点となったのが、ハイビート白樺の原点というべき先代 SLGH005 でした。その完成度の高さがあったからこそ、新作 SLGH031 は核を守りながら外装と装着感を磨き込むことができたのだと思います。

白樺の盤面と 9SA5 の鼓動を、エバーブリリアントスチールと工具不要の微調整中留でいっそう快適に味わえる──それが新作 SLGH031 です。皆様の腕の上で、静かに時を重ねてくれるはずです。

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ハラダは、Grand Seiko の正規販売店です。創業1929年の腕時計専門店として、メーカー保証付きの正規品をお届けし、ご購入後のアフターサービスにも対応します。お支払いは最大100回まで無金利分割をご利用いただけます。さらに、ホディンキーウォッチケアによる3年間の対物保険もお付けしています。

白樺ハイビートは、実機をご覧いただくことで魅力がいっそう伝わる一本です。文字盤の縦のラインが光で表情を変える様子や、ハイビートの秒針の動きは、写真だけではお伝えしきれません。新作 SLGH031 の入荷時期やご予約については、どうぞお気軽にお問い合わせください。ご来店いただければ、私がご案内いたします。

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ハラダ GS担当 藤本

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