グランドセイコー「白樺・夜(黒)」── 新作 SLGH029 は、元モデル SLGH017 から何が変わったのか

2026.06.30 2026.07.15 約8分 連載コラム

※ 価格・仕様等の商品情報は掲載時点の内容です。最新情報はHARADA(Grand Seiko Salon)にてご確認ください。

新作SLGH029 正面。夜の白樺ダイヤルと40mmケース(自社撮影)

夜の白樺(黒)の機械式ハイビートが新世代へ ── 新作 SLGH029

ハラダでGrand Seikoを担当しております、藤本と申します。グランドセイコーの人気モデル「夜の白樺(黒・Night Birch)」が、2026年に新世代へとリニューアルされます。いわゆる“白樺”モデルには機械式とスプリングドライブの二つの系統がありますが、「夜の白樺」は機械式モデルにあたり、毎時36,000振動のキャリバー9SA5を内蔵します。そして、そのコンセプトをそのままに、今回アップグレード作として登場したのが SLGH029 です。

新作SLGH029 夜の白樺(黒)着用。高強度チタン(自社撮影)
新作 SLGH029 ── 夜の白樺の黒を腕に。ブライトチタンの着用感(自社撮影)

夜の白樺ダイヤルは、白く立ち並ぶ白樺の幹が連なる白樺林を黒へ落とし込み、林立する幹を思わせる縦のラインだけを残した文字盤です。昼の白樺が光を明るく返すのに対し、こちらは落ち着いた黒で、角度を変えたときに縦のラインが見えてきます。新作 SLGH029 は、その黒の意匠と9SA5によるハイビート36000をそのまま受け継ぎ、素材には高強度なブライトチタンを採用した一本です。発売は2026年10月9日を予定しています。

本稿では、この夜の白樺・機械式ハイビートの直接の元モデルである SLGH017 を基準に置き、新作 SLGH029 で何が変わり、何が受け継がれたのかを、ひとつずつ具体的に深掘りしていきます。先に申し上げておくと、この二本はムーブメントも寸法もほぼ共通で、驚くほどよく似ています。だからこそ、その差を丁寧に見ていく価値があります。

新作 SLGH029 夜の白樺ダイヤルのクローズアップ。黒地に林立する幹を思わせる縦のラインが浮かぶ
新作 SLGH029 の「夜の白樺」ダイヤル。黒地に林立する幹を思わせる縦のラインが浮かぶ(実機の自社撮影)

元モデル SLGH017 ── 夜の白樺という位置づけ

SLGH017は、Evolution 9 スタイルの設計思想と、雫石で磨かれるハイビート36000ムーブメントを一つにまとめた、完成度の高い一本でした。文字盤のモチーフは平庭高原の夜の白樺林です。黒い地に林立する幹を思わせる縦のラインを刻み、昼の白樺とは異なる落ち着きを与えています。

私が以前この個体をお客様の手首にのせたとき、「これ以上手を入れる余地があるのだろうか」と感じたのを覚えています。9SA5キャリバーによるハイビート36000、平均日差+5〜−3秒、約80時間のパワーリザーブ。径40.0mm・厚11.7mmという佇まい。ブライトチタンを採用した軽さ。数字の上でも、実際に身に着けた感触の上でも、隙が少ない一本でした。

技術的に補足しますと、9SA5はグランドセイコーが2020年に投入した次世代機で、デュアルインパルス脱進機とフリースプラングテンプを備えています。10振動という高い振動数による信頼性を保ちつつも約80時間という長いパワーリザーブを両立させており、ブランドにおけるハイビートと実用性の折り合いを一段引き上げた機構だと言えるでしょう。

新作 SLGH029 ── 受け継いだ9SA5と夜の白樺(未発売)

新作 SLGH029 は、SLGH017が築いた夜の白樺を、ほぼそのまま受け継いでいます。黒地に林立する幹を思わせる縦のラインという意匠、9SA5が誇るハイビート36000、平均日差+5〜−3秒、約80時間のパワーリザーブという3要素、径40.0mm・厚11.7mmという寸法。これらは元モデルと同じ枠の中にあります。

本作はまだ発売前のため、私自身は所有も常用もしておりません。先行して展示個体を拝見した範囲でお伝えしますと、第一印象は「変わっていない安心感」でした。黒の落ち着き、縦のラインの見え方、ケースの厚みのバランス。手に取った瞬間に、ああ、あの白樺・夜だと分かる連続性があります。

技術面では、ムーブメントは引き続きキャリバー9SA5です。着用性に優れるEvolution 9 スタイルの設計を踏襲し、シースルーバックから機構を見せる仕立ても継承しています。素材についてはブライトチタンの採用が共通しており、軽快な装着感という核は維持されています。

新作 SLGH029 のシースルーバックから見えるキャリバー9SA5
新作 SLGH029 のシースルーバック。キャリバー9SA5の機構が見える(実機の自社撮影)

進化点 ── ブレス中留の微調整機構(工具不要・2mm×3段)

新旧でもっとも実感に効く変更点は、ブレスレットの中留に加わった微調整機構です。専用工具を使わずに、2mm単位で3段階のスライド調整ができるようになりました。これがSLGH029の、日々の使い勝手における主役だと私は考えています。

腕時計の付け心地は、季節や時間帯で意外なほど変わります。私の手首は約18cmですが、夏場にわずかに膨らみ、冬場に締まります。これまでなら工具を取り出してコマ単位で調整するか、わずかな緩さを我慢するかのどちらかでした。中留で2mmずつ詰められるなら、その日の手首に合わせて、その場で詰めたり緩めたりできます。地味な機構ですが、毎日身に着ける時計だからこそ効いてくるのです。

技術的には、中留内部にスライド機構を組み込み、ボタン操作などで段階的に位置を固定する仕組みです。コマの追加・削除という従来の調整は残しつつ、その「最後の数ミリ」を工具なしで埋められるようにした、とご理解いただければと思います。仕上げの精度が問われる部分であり、グランドセイコーがケース外装と同じ水準でブレスにも手を入れてきたことが伝わってきます。

正直に申し上げれば、これは劇的な刷新ではありません。ムーブメントが新世代になったわけでも、精度が上がったわけでもありません。完成度の高かった先代に、日々の所作をひとつ滑らかにする機構を足した。そういう種類の進化であり、ここを期待値の中心に置いていただくのがフェアだと思います。

新作 SLGH029 のブレスレット中留(クラスプ)
新作 SLGH029 のブレス中留。工具不要・2mm×3段の微調整機構を備える(実機の自社撮影)

なお、本クラスプの採用によって、ブレスレットはわずかにテーパー(先細り)がかかった仕様へと変更されました。

リュウズに至るまでのアップデート

今回、一挙発表された新作機械式モデルでは、ささやかながらリュウズの意匠にもアップデートが施されています。

具体的には、「GS」ロゴを浮き彫りにするように周囲が深く彫り込まれ、その背景部分にマットな梨地が施されるという、非常に手の込んだ造形へと刷新されました。従来作では、丸みを持たせた鏡面のリュウズトップにロゴが配されていましたが、それとは大きく異なる見た目です。

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新仕様で合わせて注目したいのが、マットな質感の背景に対し、GSロゴそのものは引き続きポリッシュで美しく仕上げられている点です。異なる仕上げが生み出す質感のコントラストによって、小ぶりなディテールでありながらもブランドロゴがいっそう際立って見えるようになりました。

ちなみにこの仕様のリュウズは、現行のスプリングドライブモデルで先行して採用されていたもの。サテン仕上げが多用されるエボリューション9コレクションとも相性の良いデザインであり、細部まで完成度が突き詰められているのが分かります。

変わらない核 ── 9SA5・夜の白樺・40mmの佇まい

進化点を挙げたうえで申し上げたいのは、この二本の価値の大半は「変わらない核」にあるということです。新旧でほぼ全てが共通しています。マイクロアップグレードと呼ぶのがふさわしいでしょう。

具体的には、ムーブメントは同じ9SA5、精度は平均日差+5〜−3秒、パワーリザーブは約80時間、寸法は径40.0mm・厚11.7mm。文字盤も同じ黒の夜の白樺で、林立する幹を思わせる縦のラインという意匠を共有しています。チタンの採用という方向性も共通です。私が店頭で二本を並べて見比べても、佇まいの差はごくわずかで、機構を知らなければ見分けは難しいほどでした。

技術的に言えば、これは「先代が高い完成度に達していた」ことの裏返しでもあります。ムーブメントを刷新する必要がないほど9SA5が成熟し、Evolution 9スタイル のケース設計が安定しているのです。だからこそグランドセイコーは、外観や心臓部ではなく、装着の最後のひと詰めという細部に手を入れました。完成形に近いものへ、過剰に手を加えなかった判断だと受け止めています。

新作 SLGH029 正面。夜の白樺ダイヤルと40mmケース
新作 SLGH029 の正面。先代 SLGH017 と同じ黒の夜の白樺・径40.0mmで、並べても佇まいの差はごくわずか(実機の自社撮影)
先代 SLGH017 正面。夜の白樺ダイヤル
先代 SLGH017 の正面。新作 SLGH029 と見比べるための基準(実機の自社撮影)

どちらの白樺・夜を選ぶか

選び方の結論から申し上げます。これから新たに夜の白樺をお迎えになるなら、主役は新作 SLGH029 です。完成度の高い核をそのまま受け継ぎ、日々の付け心地という一点で先代を上回っています。迷う理由は少ないでしょう。

私がお客様にご案内するとき、いつも申し上げるのは「毎日着ける時計ほど、小さな使い勝手が効いてくる」ということです。中留の2mm調整は、カタログの上では一行に収まる地味な仕様ですが、実際に身に着ける一年、二年を考えますと、その一行が日々の満足度を静かに底上げしてくれるのです。

元モデル SLGH017 は、夜の白樺の系譜を理解するための基準として、また新作の進化を測る物差しとして価値があります。先代がどこまで完成度を高めていたのかを知ると、新作SLGH029が受け継いだ核の大きさと、付け心地に効く一点の進化が、より立体的に見えてくるはずです。

正規販売店ハラダから

最後に、正規販売店としてのご案内を申し上げます。株式会社ハラダはグランドセイコー正規販売店であり、SLGH029をはじめとする新作も正規ルートでお取り扱いします。安心して長くお付き合いいただける体制を整えています。

お支払いについては、ショッピングクレジットの無金利分割を最大100回までご利用いただけます。高額なタイムピースを無理なくお迎えいただくための仕組みです。加えて、正規保証に重ねて、不慮の事故にも備える3年間の対物保険(ホディンキー・ウォッチケア)の仕組みもご用意しています。万一の落下や衝突といった物損に対する備えとして、長く安心して着けていただくための制度です。

新作 SLGH029 の発売は2026年10月9日を予定しています。発売前のご予約、納期のご確認、仕様についてのご質問など、どんな段階のご相談でも構いません。ご来店、またはお問い合わせ・LINEでのご相談をお待ちしています。夜の白樺という静かな黒を、ぜひ皆様の目で実物をご覧いただければと思います。

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ハラダ GS担当 藤本

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モダンで洗練された外観がお客様をお迎えします。

店内写真1

ジュエリーも幅広く揃うのでカップルや家族での買い物も長時間楽しむことができる。

店内写真2

4階にはバーカウンターとイベントスペースが設置されている。

店内写真4

落ち着いた雰囲気のバーカウンターで時計について語らうこともできる。

店内写真3

フロアごとに楽しみが見つけやすい建物の構造となっている。

株式会社ハラダは、徳島県で創業90年以上の歴史を持つ、日本正規高級時計協会(AJHH)加盟の腕時計正規販売店です。県内で眼鏡店を含む4店舗を展開し、お客様一人ひとりに最適な一本をご提案してまいりました。

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