グランドセイコーのダイバーズは、これまで43.8mmの大ぶりなケースサイズが中心でした。デザインや精度には惹かれていても、「自分の手首には大きすぎる」と感じてこられた方は少なくありません。
2026年4月のWatches and Wonders Genevaで発表された新作Ushio 300 Diverは、そうした声に応える1本です。SLGB023(ブルー)/SLGB025(グリーン)の2モデル展開で、ケース径40.8mmはグランドセイコーのダイバーズで最小径。キャリバー9RB1のU.F.A.精度は年差±20秒、300m空気潜水用防水を備え、価格は1,650,000円(税込)。発売は2026年6月5日(金)予定です。
本記事では、9RB1キャリバーの技術的特徴やSLGB023/SLGB025のダイヤル差、源流SLGA015「黒潮」との違いを解説します。装着感やどんなオーナーに向くかも、正規販売店ハラダの視点でご紹介します。
W&W2026のサプライズ|Ushio 300 Diverの登場

2026年4月、グランドセイコーはWatches and Wonders Genevaに新作群を出展しました。その中でも、ひときわ大きな注目を集めたのが、このUshio 300 Diverです。
Watches and Wonders 2026での発表とGSの位置づけ
グランドセイコーは2022年からW&W Genevaに参加しており、2026年で5年連続の出展となります。2025年には9RB2キャリバーを搭載したエボリューション9のドレスモデル(SLGB001/003/005など)を発表しました。年差±20秒という極めて高い精度水準が示されたモデル群です。
そして2026年は、このU.F.A.(Ultra Fine Accuracy)技術をスポーツ系モデルに応用した1本として、Ushio 300 Diverが登場しました。グランドセイコーとして最も小型のダイバーズウオッチであり、同時にU.F.A.をスポーツモデルへ展開した最初のモデルでもあります。
SLGB023(ブルー)/SLGB025(グリーン)の2モデル展開
モデル名「Ushio(うしお)」は、日本を取り巻く海流の躍動感を表現した名称です。ブルーダイヤルのSLGB023は深海に差し込む光を、グリーンダイヤルのSLGB025は浅瀬の透明感を、それぞれ意匠化しています。
「Ushio」パターン自体は2022年のSLGA015「黒潮」が源流です。日本近海を流れる暖流の波文を意匠化したダイヤルパターンが、今回40.8mmのケースサイズに落とし込まれました。
ハラダのお客様の中にも、グランドセイコーのダイバーズに憧れながら、サイズで断念されていた方がいらっしゃいました。Ushio 300は、こうした声に応えた1本です。
Cal.9RB1とは?U.F.A.技術を自動巻SDに応用した革新

Ushio 300 Diverの心臓部は、キャリバー9RB1です。グランドセイコーのスプリングドライブ最新世代「U.F.A.」(Ultra Fine Accuracy)を、ダイバーズ用に最適化した自動巻ムーブメントです。手巻補助に対応します。
U.F.A.(Ultra Fine Accuracy)の定義と2025年からの発展
U.F.A.はUltra Fine Accuracy(超高精度)の略称です。グランドセイコーが2025年に発表した新世代スプリングドライブの精度カテゴリーで、最初の搭載キャリバーは9RB2でした。
9RB2はSLGB001/003/005(樹氷など)のエボリューション9コレクションのドレスモデルに採用されたキャリバーです。年差±20秒というぜんまい駆動式の腕時計として世界最高水準の精度を達成しました。
スプリングドライブはセイコーグループの技術で、1999年に商品化されました。グランドセイコーは2004年に採用を開始し、以降スプリングドライブの精度を段階的に向上させてきました。U.F.A.は、その到達点として位置づけられています。
9RB1の技術的特徴|年差±20秒の根拠
9RB1が年差±20秒という精度を実現する背景には、いくつかの技術要素があります。まず、真空封止された水晶振動子により、温度・湿度・静電気の影響を抑制しています。
また、新設計のICにはサーモコンペンセーション(温度補償)機能が搭載され、温度変化による発振周波数のずれを内部で補正します。さらに水晶振動子は三ヶ月にわたるエージングを経たものを採用し、初期経年変化を組み込み前に収束させています。
組立は信州 時の匠工房(長野県塩尻市)にて1本ずつ手組されます。年差±20秒は、月差換算で±3秒、日差換算で±0.3秒相当の精度です。
9RB2と9RB1の関係|パワーリザーブ表示がダイヤル側に移った理由
9RB1は9RB2をベースに、ダイバーズ仕様へ最適化された派生キャリバーです。具体的には、日付表示を省略し、パワーリザーブ表示をダイヤル側に配置しました。
なぜダイヤル側か。9RB1はねじ込み式(スクリューバック)裏ぶたを採用したダイバーズ専用設計で、裏ぶたからムーブメントを見ることができないためです。9RB2が裏ぶた側にパワーリザーブを配置できたのは、ドレスモデルでシースルーバックを採用していたからにほかなりません。
U.F.A.精度(年差±20秒)と最大巻上時 約72時間の駆動期間は両者共通です。一方、9RB1は33石・薄型設計でコンパクト化されており(9RB2は厚さ5.02mm・34石)、ケース径40.8mm化を支える構成となっています。
スペック詳解|SLGB023/SLGB025の共通仕様とダイヤルの違い

ここからは、SLGB023/SLGB025の各部仕様を詳しく見ていきます。両モデルは文字盤の色と取扱区分のみが異なり、その他のケース・ブレス・ムーブメントはすべて共通です。
ケース・ベゼル・ガラス・裏ぶた
ケースは直径40.8mm × 厚さ12.9mmで、グランドセイコーのダイバーズで最小径となります。既存のスプリングドライブダイバー(43.8mm × 13.8mm)からは横-3.0mm、厚さ-0.9mmの小型化を実現しました。
外装はブライトチタンで、ステンレスより約30%軽量、純チタンより約1.5倍の硬度を持つチタン合金です。ベゼルは120クリックの片方向回転式で、表示板はセラミックス製となります。
ガラスはデュアルカーブサファイアで、内面に無反射コーティングが施されています。裏ぶたはねじ込み式(スクリューバック)のブライトチタン製で、グランドセイコーのライオン刻印が入ります。シースルーバックではありません。
SLGB023とSLGB025のダイヤル違い
両モデルに共通するのは、Ushioパターンの型打ち加工と、そこに重ねられたグラデーション仕上げです。
SLGB023は「Ushioブルー」と呼ばれる深いブルーで、深海に差し込む光のイメージを表現します。SLGB025は「Ushioグリーン」で、浅瀬の透明感を意匠化しました。SLGB025の特徴は、PVD光学多層コーティングにより光の入射角度で色調が変化することです。
針とインデックスは、Evolution 9コレクションの新型ハンドセットを採用しています。ルミブライトは緑発光仕様で、針・全12時インデックス・ベゼル12時位置に塗布されています。
新開発ブレス&クラスプ
ブレスレットはブライトチタン製で、新開発のスライドロックエクステンダー方式クラスプを採用しています。微調整は工具不要の3段階・最大6mm、ダイブ拡張は+18mmで、合計24mmの調整幅を備えます。
通常使用での日々の手首変化に対応する微調整と、ウェットスーツ装着時の拡張機能を、1つのクラスプで両立した設計です。スライドロック機構が意図せぬ脱落を防ぎます。
取扱区分の重要な違い
SLGB023とSLGB025には、販売店での取扱区分に重要な違いがあります。SLGB023はブティック/サロン/マスターショップと広く展開されるのに対し、SLGB025はブティック/サロンのみで、マスターショップでは取扱がありません。
当店ハラダはGrand Seiko Salon認定店のため、SLGB023もSLGB025も両モデルとも取扱可能です。
SLGB023 / SLGB025 共通スペック
| コレクション | エボリューション9 コレクション |
|---|---|
| キャリバー | 9RB1(スプリングドライブ U.F.A. 自動巻、手巻つき) |
| 精度 | 年差±20秒(月差±3秒相当) |
| 駆動期間 | 最大巻上時 約72時間(約3日間)持続 |
| ケースサイズ | 直径40.8×厚さ12.9mm |
| 外装 | ブライトチタン(ケース・裏ぶた・ベゼル基材・ブレス) |
| ベゼル | セラミックス(120クリック片方向回転ベゼル) |
| ガラス | デュアルカーブサファイア(内面無反射コーティング) |
| 防水 | 300m空気潜水用防水(ISO 6425準拠) |
| 耐磁 | 4,800A/m |
| 機構 | 時・分・秒・パワーリザーブ表示(ダイヤル側)/日付なし |
| メーカー希望小売価格 | 1,650,000円(税込) |
| 発売時期 | 2026年6月5日(金)発売予定 |
SLGB023 / SLGB025 個別差異
| 品番 | ダイヤル | ダイヤル表現 | 取扱区分 |
|---|---|---|---|
| SLGB023 | ブルー(Ushioブルー) | 深海に差し込む光のグラデーション/Ushioパターン型打ち | ブティック/サロン/マスターショップ |
| SLGB025 | グリーン(Ushioグリーン) | 浅瀬の透明感/PVD光学多層コーティングで色調が変化 | ブティック/サロンのみ |
既存SDダイバーズ・Ushioパターン源流SLGA015「黒潮」との違い

Ushio 300 Diverを正しく位置づけるには、既存のスプリングドライブダイバーズや、Ushioパターンの源流モデルとの比較が欠かせません。ここでは4つの参考モデルと並べて見ていきます。
Ushioパターンの源流|SLGA015「黒潮」(2022年)
Ushioパターンの源流は、2022年発表のSLGA015「黒潮」です。日本近海を流れる暖流「黒潮」を意匠化したダイヤルパターンが特徴で、これがUshio(うしお/潮)という名称の起点となりました。
SLGA015の主要諸元は、キャリバー9RA5(5Days)、ケース43.8×51.5×13.8mm、ブライトチタン製。200m防水、重量150g、価格1,683,000円(税込)となります。
2026年のUshio 300 Diverは、この「Ushioパターン」のDNAを継承しています。サイズを40.8mmに縮小し、駆動方式をU.F.A.に進化させ、防水を300mに強化した1本です。
既存SDダイバーズとの比較
現行のスプリングドライブダイバーズとしては、SLGA015「黒潮」のほかに、その兄弟モデルであるSLGA023も流通しています。両者ともに9RA5(5Days)・43.8mm・200m防水・1,683,000円(税込)で、ダイヤル意匠が異なります。
なお、旧世代のスプリングドライブダイバーであるSBGA229や同系統のモデルは、現行のラインナップから外れています。
Ushio 300は40.8mm/12.9mm/300m防水という数値で、従来のGSダイバーが超えられなかった寸法と防水性能の壁を超えた1本となります。
メカニカルダイバーズSBGH289との比較
メカニカルダイバーズと比較すると、駆動方式・精度・価格の3軸で違いが見えてきます。
SBGH289はキャリバー9S85を搭載したメカニカルダイバーで、ケース43.8×厚14.7mm、200m防水、1,001,000円(税込)。精度は平均日差+5〜-3秒です。一方、Ushio 300(9RB1)はスプリングドライブのスイープ秒針で、年差±20秒、300m防水、1,650,000円(税込)となります。
価格差は約65万円ですが、精度では月単位で大きな差があります。秒針の動きも、9S85のチクタクとした規則的な動きと、9RB1の静かに流れるスイープでは表情が大きく異なります。
同じU.F.A.ファミリーSLGB003「樹氷」との関係
同じU.F.A.キャリバーを搭載するSLGB003「樹氷」は、Ushio 300の姉妹コンセプトといえます。SLGB003は9RB2搭載・37.0×11.4mm・10気圧(100m)防水・重量100g・1,518,000円(樹氷ダイヤル)のドレスモデルです。
ドレス系の9RB2(樹氷)からスポーツ系の9RB1(Ushio 300)へ、U.F.A.ファミリーは着実に展開を広げています。
Ushio 300と現行関連モデルの比較
| 品番 | コレクション | キャリバー | 精度 | サイズ | 防水 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| SLGB023/025 | エボリューション9 | 9RB1(U.F.A.) | 年差±20秒 | 40.8×12.9mm | 300m | 1,650,000円 |
| SLGA015「黒潮」 | エボリューション9 | 9RA5(5Days) | 月差±10秒 | 43.8×13.8mm | 200m | 1,683,000円 |
| SLGA023 | エボリューション9 | 9RA5(5Days) | 月差±10秒 | 43.8×13.8mm | 200m | 1,683,000円 |
| SBGH289 | スポーツ | 9S85(メカニカル) | 平均日差+5〜-3秒 | 43.8×14.7mm | 200m | 1,001,000円 |
| SLGB003「樹氷」 | エボリューション9 | 9RB2(U.F.A.) | 年差±20秒 | 37.0×11.4mm | 10気圧 | 1,518,000円 |
装着感と小型化の実現|GS最小40.8mmダイバーの実力

Ushio 300の魅力を語るうえで欠かせないのが、装着感です。サイズの数値だけでは伝わらない、実機の腕乗りについて触れていきます。
40.8mm × 12.9mmという数字の意味
既存のGSダイバー(43.8mm × 13.8mm)と比べると、横-3.0mm、厚さ-0.9mmという数値以上に、印象は大きく変わります。3mmという差は、手首の小さい方や、ジャケットの袖口に時計を収めたい方にとって、決定的に大きな違いとなります。
この小型化を可能にしたのは、9RB1のコンパクトなムーブメント設計です。薄型に抑えられたムーブメントは、スプリングドライブの中でも小型の部類に入ります。ラグからラグの距離も短くなり、日本人男性の平均的な手首にも自然に収まる寸法となりました。
加えて、ブライトチタンの軽量性も装着感を底上げします。ステンレスと比べて約30%軽い素材を、ケース・ベゼル基材・ブレスのすべてに採用しているため、トータルの軽さは数値以上に体感されます。
新型ブレス&クラスプの装着感
ブレスとクラスプも、装着感に大きく寄与します。微調整3段階・最大6mmの工具不要調整は、季節や時間帯による手首変化に対応できる便利な機能です。
ダイブ拡張+18mmは、ウェットスーツ装着時はもちろん、長袖シャツのカフ上に時計を載せたい場面でも有効です。スライドロック機構が意図せぬ脱落を防ぎ、日常使いでも安心感があります。
お試しいただいたお客様からは、「これなら毎日着けられる」「腕への乗りが軽い」というご感想を多くいただきます。サイズ感に不安をお持ちの方ほど、ぜひ実機をお試しください。
どんなオーナーに向くか|ダイバー派・薄さ重視・新技術派

Ushio 300は2モデル展開・1,650,000円(税込)という1本ですが、刺さる方の層は実は多岐にわたります。代表的な3タイプをご紹介します。
本格ダイビング派
300m空気潜水用防水・ISO 6425準拠のスペックは、レクリエーショナルダイビングから本格的なダイビングまで十分に対応します。120クリック片方向回転ベゼルでの潜水時間管理、ウェットスーツに対応する合計24mm調整幅クラスプも、実用面で大きな価値があります。
ダイバーズウオッチとしての本格性能と、グランドセイコーらしい高い仕上げ品位を両立した1本といえます。
日常使い・サイズ重視派
ダイビングをされない方でも、Ushio 300には魅力があります。40.8mmはGSダイバーで最小径のため、これまで43.8mmサイズで諦めていた層にとっては待望の1本といえる存在です。
ブライトチタンの軽量性、年差±20秒の精度(月差±3秒・日差±0.3秒相当)、ダイヤルの上質感など、日常使いに必要な要素はすべて高い水準で揃っています。スーツのカフ下にも収まりやすい寸法も、ビジネスシーンでの使い勝手を高めます。
新技術派・既存GSオーナーの2本目
U.F.A.という新世代スプリングドライブ技術を、最も日常的に使える1本で体験したいという需要にも適合します。
既存のグランドセイコーオーナー様が「次の1本」として選ばれる場合、150万円台後半というプライスゾーンは比較的入りやすい価格帯です。当店でも、既存のグランドセイコーオーナー様が「2本目はダイバーズで」とご検討されるケースが増えてきています。
よくある質問(FAQ)
ここまでの内容を踏まえて、ご来店時やLINEでよくいただくご質問を5つにまとめました。
Q1. SLGB023とSLGB025の違いは何ですか?
Q2. Cal.9RB1は2025年発表の9RB2と何が違いますか?
Q3. SLGB025はどこで購入できますか?
Q4. 月々の支払いはどのくらいから可能ですか?
Q5. これまでGSダイバーは大きすぎて諦めていましたが、40.8mmは日常使いに向きますか?
まとめ|GSダイバー新時代の幕開け

2026年のUshio 300 Diverは、4つの革新を一度に実現した1本です。①ケース径40.8mmという GS最小ダイバー、②年差±20秒のU.F.A.精度、③300m空気潜水用防水、④新型スライドロックエクステンダー方式クラスプ。これらが1,650,000円(税込)という価格帯で揃った点が、Ushio 300の大きな価値といえます。
2モデル展開も選び方を広げます。深海を思わせるブルー文字盤のSLGB023か、浅瀬の透明感を意匠化したグリーン文字盤のSLGB025か、お好みでお選びいただけます。
当店ハラダはGrand Seiko Salon認定店のため、SLGB023もSLGB025も両モデル取扱可能です。ご検討中の方はお早めのご相談を推奨いたします。ご予約・ご相談は、LINE/お電話/店頭にて承っております。新時代のグランドセイコーダイバーを、ぜひお確かめください。