「阿寺川(あてらがわ)のSLGB011は、写真では青に見えますが、実物ではどんな色合いに見えますか?」。2026年9月5日の発売から2週間、店頭とお問い合わせでいちばん多くいただいた質問がこれです。
SLGB011は、エボリューション9 コレクションにスプリングドライブ U.F.A.(キャリバー9RB2・年差±20秒)を載せた2026年の新作です。ケースとブレスレットはエバーブリリアントスチール、メーカー希望小売価格は1,386,000円(税込)。先代SLGA025から「阿寺ブルー」の文字盤を受け継ぎ、ムーブメントと素材を改めた一本になります。
ハラダでGrand Seikoを担当しております藤本です。この時計の魅力も迷いどころも、結局は文字盤の色によるところが大きいのではないでしょうか。青とも緑とも言い切れない色は、光ひとつで別の時計のように写ってしまうからです。そこで本稿では、スペックの読み上げよりも「SLGB011の実物は何色に見えるのか」に紙幅を割こうと思います。明るい場所と暗い場所、角度、服装、そして諏訪湖の青や先代SLGA025と並べたときの見え方を、自社撮影の写真とともに順にお話しします。

先に結論から|青緑の「真ん中」にある色で、暗い場所ほど緑に沈む
実物を店頭で毎日見ている立場から、先にSLGB011の色合いについて結論を申し上げます。中央が明るい青緑で、外周へ向かって深い色合いへ沈むグラデーションです。一方で、店内の照明や夕方の間接光では全体が深い緑に近づき、黒に見える瞬間さえあります。「青」を期待して来られた方には少し緑に、「緑」を期待して来られた方には少し青に感じられる、ちょうど真ん中の色と申し上げるのがいちばん正直でしょう。
合わせる服装については、ネイビーやチャコール系のジャケットと深い色が馴染む一方で、明るめのコーディネートでは中央の青緑が目を引く存在となります。また、スーツで使えるかという問いには、使えます、とお答えしています。
なお、SLGB011は、公式にグランドセイコーブティックとグランドセイコーサロンでのみ取り扱われるモデルです。当店は徳島のグランドセイコーサロン認定店ですので、店頭で実機をご覧いただけますし、遠方の方には実物を撮影した動画をお送りしています。
SLGB011 基本スペックと価格
SLGB011 基本スペック
| コレクション | エボリューション9 コレクション |
|---|---|
| キャリバー/駆動 | 9RB2/スプリングドライブ 自動巻(手巻つき) |
| 精度 | 年差±20秒(月差±3秒相当) |
| 持続時間 | 最大巻上時 約72時間(約3日間) |
| 外装 | エバーブリリアントスチール(裏ぶた:エバーブリリアントスチール+サファイアガラス、シースルースクリューバック) |
| ガラス | ボックス型サファイア、内面無反射コーティング |
| ケースサイズ | 横40.0×縦47.2×厚さ11.7mm |
| 重量 | 168g |
| バンド/中留 | 幅22mm/微調整機構つきワンプッシュ三つ折れ方式(腕周り長さ最長197mm) |
| 防水・耐磁 | 日常生活用強化防水(10気圧)・耐磁あり |
| その他 | ねじロック式りゅうず、34石、パワーリザーブ表示(裏ぶた側) |
| 取扱店 | グランドセイコーブティック/グランドセイコーサロン |
| 発売日 | 2026年9月5日 |
| 価格(税込) | 1,386,000円 |
阿寺川という名前 ── 信州 時の匠工房の南西を流れる清流
スプリングドライブの製造地は長野県塩尻市の「信州 時の匠工房」です。その南西を流れるのが木曽川水系の阿寺川で、周囲の渓谷は長野県有数の景勝地として知られています。そして、清流の透明な青緑は「阿寺ブルー」と呼ばれ、グランドセイコーはこれをブルーグリーンのグラデーションと繊細な型打模様で表現しました。渓谷を刻んできた悠久の時の流れをダイヤルに写した、というのが公式の説明です。
私が実機を初めて手にしたとき、模様が「流れ」のように見えたのが印象に残っています。水面(みなも)と呼ばれる諏訪湖モデルのように光を反射してきらめくのではなく、細い筋が一方向へ静かに流れている。同じ水のモチーフでも、湖と川で表現がはっきり違うのが感じられました。
阿寺ブルーは何色か ── 光と角度で確かめる
ここからが本題です。同じ時計を、明るい場所・暗い場所・角度の三つの条件で見ていきます。写真は自社撮影で、色味はお使いのモニターによって実物と異なる場合がございます。
明るい場所での色 ── 中央の明るい青緑と、外周の深い青緑

明るい場所で真上から見ると、文字盤はほぼ均一な青緑に見えます。ところが少し傾けると、中央の明るい部分と外周の深い部分に分かれ、グラデーションが現れます。この「傾けたときだけ現れる」性格が、写真で色が定まらない理由です。正面から撮ればフラットな青緑に、斜めから撮れば深い緑に写ります。

お客様との会話で私がよく使う言い方は、「晴れた日の渓谷の水の色」です。青い空を映しているのに、川底の岩や苔の緑が透けている。どちらか一色に決められないのは、モチーフの阿寺川そのものがそういう色だからではないでしょうか。
店内照明と暗い場所での色 ── 深い緑へ、ときに黒へ

続いては、暗い場所での見え方です。店内照明の下や夕方の間接光では、外周の深い青緑が黒に近づき、文字盤全体が落ち着いた深緑の時計に見えます。そのため、明るい場所で見た「青緑」を期待して腕元を見ると、少し驚かれるかもしれません。
ただ、これはこの時計の弱点ではなく、一日の中で二つの顔を持つということでもあります。昼は渓谷の水の色、夜は深い森の色。店頭では、室内での落ち着いたルックスを理由に選ばれる方も少なくありません。
角度で現れる型打模様 ── 川の流れの線


型打模様は、正面からはほとんど見えません。文字盤を45度ほど傾け、光を斜めに受けたときに初めて、細い筋が流れのように浮かび上がります。このランダムに近い模様が、色のグラデーションに奥行きを与えているのです。単色の塗装ではなく、模様の凹凸が光を拾って色を変えているため、同じ青緑でも平面的に見えない、という理屈なのでしょう。
諏訪湖の青と並べる ── 「青」からどれだけ離れているか
同じ9RB2を積む新作には、諏訪湖の朝陽をモチーフにしたブルーのSLGB013(40.0mm)とSLGB015(37.0mm)があります。SLGB011「阿寺川」のダイアルが「青」からどれだけ離れているかは、この諏訪湖と並べるといちばんよく分かります。青をお探しの方は諏訪湖モデルへ、「他の人と同じ青ではないものを」という方は阿寺川モデルへ。店頭ではこの二本を並べてご覧いただくと、迷いが少なくなることが多い印象です(逆に悩みが増す方もいらっしゃいますが)。

3本の見比べ方は、いま実機で見られるスプリングドライブU.F.A. 3本のガイドにまとめています。
先代SLGA025と並べる ── 色・素材・重さ・中留
SLGB011の先代は、同じ阿寺川をモチーフにしたSLGA025です。当店では二本を並べてご覧いただけますので、違いを整理しておきます。
| SLGB011(新作) | SLGA025(先代) | |
|---|---|---|
| 文字盤 | ブルーグリーンのグラデーション+型打模様 | エメラルドグリーン寄りの青緑、全体が均一に明るい |
| キャリバー | 9RB2 U.F.A./年差±20秒/約72時間 | 9RA2/月差±10秒/約120時間 |
| 外装 | エバーブリリアントスチール | ブライトチタン |
| ケース | 40.0×47.2×11.7mm | 40.0×47.9×11.8mm |
| 重量 | 168g | 112g |
| 中留 | 微調整機構つきワンプッシュ三つ折れ | ワンプッシュ三つ折れ |
| 価格(税込) | 1,386,000円 | 1,463,000円 |

色は、先代が「均一に明るい青緑」、新作が「中央と外周で明暗のあるグラデーション」です。素材は、先代のブライトチタンがグレーがかったマットな明るさなのに対し、新作のエバーブリリアントスチールは通常のステンレススチールより白く輝きます。文字盤の青緑をどちらの色で縁取るかで、時計全体の印象が変わるのです。
重さは168gと112gで、手に持ち替えるとはっきり分かる差です。ここは新作が譲る点で、隠すつもりはありません。一方で新作は、2mm単位で3段階、計6mmの微調整ができる中留を得ました。ブレスレットの微調整は、日々の快適さに直結する機構です。



先代SLGA025は、公式サイトのカタログでは掲載が終了していますが、当店には在庫がございます。軽さと5日間の持続時間を優先される方には、いまなら先代という選択も残っています。詳しくはSLGA025の実機レビューでお話ししています。
服装との相性 ── スーツで使えるか

「スーツに合うだろうか」は、色と同じくらい多くいただく質問です。私の見立てでは、ネイビーやチャコールのジャケットには外周の深い青緑が馴染み、袖口からのぞく中央の明るい部分がさりげない差し色になります。白いシャツの袖口とは、エバーブリリアントスチールの白さが呼応して清潔な印象です。
一方、休日の明るい服、たとえばベージュのニットやグレーのスウェットでは、中央の青緑が主役に出てきます。店頭では、平日はジャケット、休日は軽装という方が「どちらでも使える」と決められることが多く、この二面性がSLGB011の実用面での強みだと感じています。

窓際の自然光で、ネイビーとグレーのスーツに合わせて撮り直しました。




装着感 ── 40.0mm・168gと、テーパードブレスレット・微調整中留
ケースは横40.0mm・縦47.2mm・厚さ11.7mm。腕周り約18cmの私の手首では、ラグが手首の幅に収まり、袖口にも引っかかりません。重さ168gは軽くはありませんが、ブレスレットが先端へ向かって細くなるテーパードの形状のため、重さが手首の一点に集まらず、数字より穏やかに感じられます。


中留には、2mm単位で3段階、計6mmのスライド調整ができる微調整機構が備わりました。コマの抜き差しでは合わせきれなかった半コマ分の隙間を、工具なしで詰めたり緩めたりできます。夏に手首が張る方、冬に緩みが気になる方には、日々の快適さが変わる機構です。


キャリバー9RB2 ── 年差±20秒と、約72時間という正直なところ
キャリバー9RB2は、スプリングドライブ U.F.A.(Ultra Fine Accuracy)の名のとおり、年差±20秒、月差に直せば±3秒相当の精度を持ちます。従来のスプリングドライブが月差±15秒ですから、桁がひとつ違う世界です。ただ、この数字は実機を眺めても見えるものではなく、一ヶ月、一年と着けていくうちに「合わせ直した記憶がない」という形で実感していくものではないでしょうか。

目で見て楽しめるのは二つです。ひとつは秒針が止まることなく滑る、スプリングドライブならではのスイープ運針。もうひとつは、サファイアガラスの裏ぶた越しに見える回転錘の刻印と、その下の小さなパワーリザーブ表示です。表の文字盤には表示がないぶん、阿寺川の模様が途切れずに一枚の景色として広がります。
正直にお伝えしておきたいのが持続時間です。最大巻上時で約72時間、先代9RA2の約120時間から短くなりました。金曜の夜に外して月曜の朝に着けるまでが約60時間ですので、満巻なら止まりませんが、金曜の時点で巻き上がりきっていなければ月曜に止まっていることもあります。週末に2日以上外す習慣のある方は、月曜の朝にりゅうずを数回巻いてから着ける、という小さな所作を覚えていただくと安心です。精度を年差の領域へ引き上げた代わりの設計上の選択であり、ここを隠してお薦めすることはしたくありません。

取扱店とお求めについて ── ブティック・サロンのみの取扱、当店に実機がございます
SLGB011は、グランドセイコーブティックとグランドセイコーサロンでのみ取り扱われるモデルです。同じ新作でも諏訪湖のSLGB013・SLGB015はマスターショップでも扱われますので、阿寺川だけは見られる店が限られます。ハラダは創業1929年の腕時計専門店で、徳島のグランドセイコーサロン認定店です。執筆時点で店頭に実機がございます。
遠方でご来店が難しい方には、この時計の実物を撮影した動画をお送りしています。文字盤の色の動きは、静止画より動画のほうがはるかに伝わります。お問い合わせフォームで品番をご指定いただくだけで結構です。お支払いは最大100回まで無金利分割をご利用いただけ、ご購入後3年間の対物保険(ホディンキーウォッチケア)についても店頭またはお問い合わせの際にご説明いたします。
SLGB011(阿寺川)のお問い合わせ・実物動画のご依頼はこちら →
よくある質問 (FAQ)
Q1. SLGB011の文字盤は青ですか、緑ですか?
Q2. SLGB011はどこで購入できますか?
Q3. 先代SLGA025との違いは何ですか?
Q4. パワーリザーブは約72時間ですが、週末に外しても大丈夫ですか?
Q5. 遠方ですが、実物を見ずに検討できますか?
まとめ ── 「何色か」に答えられる時計は、腕に載せた人だけが知っている
SLGB011は、年差±20秒のキャリバー9RB2をエバーブリリアントスチールの40.0mmに収めた、阿寺川の新作です。冒頭の「青ですか、緑ですか」という問いへの答えは、「明るい場所では青緑、暗い場所では深い緑、そのどちらもこの時計の色です」となります。
私がこの時計をお薦めしたいのは、定番の青や黒ではなく、自分だけの色を腕に持ちたい方です。そして、ジャケットにも休日の服にも同じ一本で応えてほしい方。写真では決めきれないのは当然で、だからこそ店頭で、あるいは動画で、光の下の実物をご覧いただきたいのです。
気になる一本がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。徳島のグランドセイコーサロン認定店として、ご相談を承っております。
※掲載内容は2026年9月時点のものです。価格・在庫状況は変更となる場合がございます。最新の情報は当店までお問い合わせください。
ハラダ GS担当 藤本
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